研究実績の概要 |
1年目は,前期~中期中新世における赤道インド洋の放散虫化石層序を確立した.研究試料には,国際深海掘削計画(ODP)によって赤道インド洋の714地点(北緯05°東経73°)で掘削された深海堆積物(約20~10 Ma)を用いた.本地点は現在,インド洋赤道水塊内に位置する.岩相は主に石灰質軟泥よりなり,比較的保存の良い放散虫化石を多産する.これらのコア試料から合計100試料を採取し,Sanfilippo et al. (1985)に準じた方法で試料処理を施した後,検鏡用のプレパラートを作成した.水洗には45μm目の篩を用いた.本コアには古地磁気層序が設定されていないので,放散虫化石帯・基準面の年代は,石灰質ナノ化石および浮遊性有孔虫化石層序によって作成した堆積速度曲線を用いて計算した.なお地磁気極性年代尺度にはGTS2012を使用した. 本研究では合計36の放散虫基準面を認定した.これらの群集は,低緯度地域の標準化石層序の示準種を含むので,Sanfilippo and Nigrini (1998)によって提唱された化石帯区分を使用することができ, RN2帯からRN6帯までの5化石帯に区分した. 1)RN2帯は最下部の試料から,試料19X-4W, 10-12 cmまで.出現層準1つが認められた.2)RN3帯は試料19X-3W, 110-112 cmから試料17X-4W, 10-12 cmまで.2つの出現と2つの消滅が認められた.3) RN4帯は試料17X-3W, 10-12 cmから14X-3W, 60-62 cmまで.8つの出現と4つの消滅が認められた.4)RN5帯は試料14X-3W, 10-12 cmから9H-2W, 10-12 cmまで.13つの消滅が認められた.5)RN6帯は試料9H-1W, 10-12cmから最上部の試料まで.2つの進化層準が認められた.
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