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2020 年度 実施状況報告書

放散虫のシリカ被殻形成過程の解明と分子系統解析から探るシリカ固定能の起源と進化

研究課題

研究課題/領域番号 18K03821
研究機関東京学芸大学

研究代表者

高橋 修  東京学芸大学, 教育学部, 教授 (20242232)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード放散虫 / 共生藻 / Zooxanthella / Symbiodinium / 分子系統解析 / 超薄切片観察
研究実績の概要

1)海洋原生生物放散虫のいくつかの種において,採取地点・時期が異なっても放散虫は同じ共生藻をもち,宿主-共生体間に種特異性がある可能性が,分子系統解析や培養細胞の形態観察により明らかになった.例として,本年度に沖縄本島西方沖で採取した放散虫の共生体の電子顕微鏡観察および遺伝子解析により,以下の可能性が指摘される.① 放散虫は種ごとに決まった種類の共生藻を後生的に獲得する.② ひとつの放散虫には複数の種の共生藻は存在しない.③ 海域ごとに保持する共生藻は異なる(他報告との比較により).④時期を変えても,決まった放散虫種には決まった共生藻が共生している.
2)沖縄産放散虫に特有の共生体の論文を作成した(Yuasa et al. in press).放散虫には少なくとも2種類の共生体が確認されており,その一つは古くから知られているZooxanthella nutricula である.今回,このZooxanthella nutricula が放散虫に特有な共生藻であること,そして,超薄切片による観察により,サンゴや二枚貝に共生するSymbiodiniumとの形態の比較もあわせておこなった.
3)放散虫のゲノム解析をすすめた.複数の放散虫種から放出された遊走細胞をあつめて,放散虫のゲノムを解読し,シリコントランスポーター遺伝子 (SITLs)を探索するためにそれらをもちいた.放散虫のミトコンドリアゲノムの配列はほぼ明らかにする事ができたが,核遺伝子本体を読み取ることができなかった.これについては,放散虫の核を取り囲んでいる中心嚢膜が厚すぎることで,遺伝子の増幅が阻害されたものと考えている.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今年度計画していた,ノルウェーOslo大学とアメリカBigelow Laboratory for Ocean Sciences海洋研究所の研究者らとの調査予定が,コロナウイルスの影響でキャンセルされた.このノルディック海での放散虫のサンプリングと共生藻の解析が,今回の研究計画の大きなテーマのひとつであったので,とても残念である.代案として,延長された最終年度の今年度は,日本海佐渡の観測所でのサンプリングをおこない,日本近海における寒帯系の放散虫の共生体の多様性や特異性について探索することを試みる.

今後の研究の推進方策

上述したように,延長された最終年度の今年度は,日本海佐渡の新潟大学観測所でのサンプリングをおこない,寒帯系の放散虫の共生体の多様性や特異性について探索してみたい.水塊の異なる海域でも,同じ種類の放散虫が保持する共生藻は,同じ種類のものなのか,それとも水塊により選択される共生藻の種が異なっているのか,などについて明らかにしたい.また,ゲノム解読をさらに進めて,解析手法の確立や,探索部位の絞り込みなどについても,本年度あわせて検討していきたいと思っている.

次年度使用額が生じた理由

本年度はコロナ禍の影響により,ノルウェーで計画されていた3カ国(ノルウェー・アメリカ・日本)の共同研究が実施できなかったことによる.次年度は,この延期した計画が実施されることを期待しているが,もし実施されなかった場合は,日本海でのサンプリングに切り替えて,水塊の異なる種について検討してみたい.

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公開日: 2021-12-27  

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