研究課題/領域番号 |
18K03822
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
佐藤 たまき 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (90466912)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 化石 / 脊椎動物 / 層序 |
研究実績の概要 |
2019年8月26日~8月31日に、北海道で野外調査及び博物館調査を実施した。また首長竜化石の記載を進め、同年代のヨーロッパ産首長竜化石の比較データ拡充のために12月にイギリス・マンチェスター大学博物館の訪問調査を行った。そして11月には国際学会で発表を行った 野外調査は浦幌町、佐呂間町、小平町において、根室層群(マーストリヒティアン~暁新統ダニアン)、佐呂間層群(上部白亜系、階不明)及び蝦夷層群(主にセノマニアン~サントニアン)で行った。道東では調査補助2名と足寄動物化石博物館(足寄町)の協力を得て、浦幌町モカワルップ川では、K/Pg境界よりやや下位から無脊椎動物化石を数点収集した。また、佐呂間町仁倉川では、イノセラムス類の断片などを採集した。しかし脊椎動物化石は全く発見されなかった。小平町ではオビラシベ川中流域の下記念別川及び中記念別川を調査した。これらの流域からは複数の含脊椎動物化石ノジュールが他産するが正確な産出層準を特定できないことが多いため、微化石の活用を検討している。また、むかわ町穂別博物館、小平町教育委員会、中川町エコミュージアムでは地元から産出した含脊椎動物化石ノジュールを調査した。また、留萌市や旭川市のアマチュア収集家が公的機関への寄贈を検討している標本には今後の展開が期待できるものがあることがわかり、公的機関への寄贈を勧めた。プリオサウルス類標本については、これまで見落とされていた形質が見つかった。ポリコティルス類標本の記載と系統学的解析も進めているが、在外機関の所蔵標本との比較が難航している。公表データが不足しているヨーロッパの上部白亜系のデータを補うため、マンチェスター博物館の所蔵標本を調査した。 また、1st Asian Palaeontological Congress で本研究の成果と先行研究のレビューを含めた招待講演を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度に比較して野外調査では無脊椎動物化石の標本がいくつか得られたものの、メインターゲットの脊椎動物化石が全く得られない。本邦の白亜系最上部に脊椎動物化石が非常に乏しいことの傍証であると解釈している。一方、首長竜化石の記載が遅れている理由は、在外機関の所蔵標本との比較が難航していることと、予想と違う解剖学的特徴が得られたために図の作成をやり直していることなどが挙げられる。そのため成果公表に慎重にならざるを得ず、計画していた学会発表の一部を延期した。イギリスで得たデータなどを生かして今後の進展に繋げたい。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は最終年度であるが、新型コロナウイルスの感染拡大による影響が非常に深刻で、移動の制限や本務先の大学の授業などの計画変更のため、本報告書執筆の時点では野外調査や学会などの海外出張の計画が全く立てられなくなっている。このような状況でも進められる作業を優先しつつ、状況の変化に柔軟に対応したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査の結果、予想と異なる結果が得られたために、海外学会発表や調査のための出張を見送ったことが最大の原因である。
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