研究課題/領域番号 |
18K03822
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
佐藤 たまき 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (90466912)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 化石 / 脊椎動物 / 層序 |
研究実績の概要 |
新型コロナウイルス感染症の影響により出張や共同作業が困難になった上、本務先における研究以外の業務に要する時間が急増したため、研究計画の大幅な変更を余儀なくされた。主要な研究活動としては以下を行った。 (1)国内外の標本所蔵機関の訪問調査時期や訪問期間に大幅な制限が発生したため、代替策として首長竜の大型標本の3D形態データの利用に取り組んだ。9月に携帯可能な3Dスキャナーと画像処理に対応できるパソコンを購入し、北海道大学とむかわ町穂別博物館を短期間訪問し、共同研究者が3D形態データ取得に必要な作業を行った。 (2)蝦夷層群産首長竜標本の3D形態データを取得した。北海道大学の所蔵するプリオサウルス類標本 HUR33108 とむかわ町穂別博物館のポリコティルス類標本 HMG1067 については、北海道在住の研究者にデータ取得作業を依頼した。中川町エコミュージアムと北海道博物館が所蔵するプリオサウルス類標本(NMV48, HM92969-92978)は、研究代表者の所属機関に借用して研究代表者がデータを取った。これらのデータに基づく3次元画像の作成には他研究者の協力を得た。 (3)上記と前年度までに取得していたデータに基づいてプリオサウルス類標本の記載を進め、2021年2月の日本古生物学会例会で口頭発表を行った。 (4)中川町産のサメ化石標本の記載論文の執筆を進め、2021年2月の日本古生物学会例会で共著の発表を行い、次年度早々(2021年4月)に投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響による以下の2点が研究遅延の最大の要因である。 (1)野外調査や標本観察のために必要な国内外の出張に著しい制限が生じた (2)勤務先の研究以外の業務(授業等)で急激なオンライン化に対応するために膨大な時間とエネルギーが費やされ、本研究に必要な研究時間が確保できなかった。 その一方、必要に迫られて急遽導入した3D形態データの活用により、完全な中断は避けられた。また、3Dデータの長所と短所が明らかになったため、今後の研究に役立つと考える。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間を1年延長したが、残念ながら今年度も新型コロナウイルス感染症の影響があることは明らかで、研究計画のうち出張などを伴う部分を従来の計画に完全に戻すことは困難であると予想している。その一方で、本務先で昨年度生じていた急激なオンライン化対応に伴う業務はかなり軽減されるため、研究時間は昨年度より確保できると期待している。そのため、出張などを伴う研究活動は新型コロナウイルス感染状況への対応を考慮しつつ可能な範囲で取り組む一方で、前年度に導入した3Dデータの活用などの新しい手法を模索しつつ、既に入手しているデータに基づいて論文投稿や学会発表などの成果の公表に努めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響により出張や共同作業が困難になり、予定していた野外調査や標本所蔵機関の訪問調査がほとんど進められなかったため、次年度使用額が生じた。残念ながら2021年度も同ウイルスの影響は避けられないと考えられるため、出張が可能な時期を狙って感染拡大へ配慮した調査遂行を目指しつつも、新しく導入した3D形態データの活用なども検討しながら成果の公表に向けて研究を完了させたい。次年度使用額は、野外調査や博物館所蔵標本調査のための国内出張旅費や3D形態データ分析に必要な機器の購入費用として使用する予定である。
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