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2021 年度 実施状況報告書

P/T境界大量絶滅後の三畳紀有孔虫群集における多様性回復過程の研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K03829
研究機関福岡大学

研究代表者

上野 勝美  福岡大学, 理学部, 教授 (90241786)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード三畳系 / 有孔虫 / 大量絶滅 / 多様性回復 / ペルム系
研究実績の概要

本科研費の申請時の計画では,令和3年度が研究の最終年度となっていた.研究の2年目にあたる令和元年度までは計画通りおおむね順調に研究が進んでいたが,令和元年度末から始まった新型コロナ感染症の世界的流行により,令和元年度末および2年度に実施予定であった東南アジアのタイ王国およびラオスにおける野外地質調査が実施できなくなった.さらに令和3年度もこれらの国への渡航が制限されていたため,野外調査はやむなく見送らざるを得なくなった.またこの間,研究成果の公表を予定していた国際会議にも順延になったものがいくつかあった.これらの社会情勢を踏まえ,令和3年度中頃から補助事業期間の延長とそれに伴う研究計画の変更を検討し始めた.現状では,タイ王国については新型コロナ感染による入国制限も概ね解除されたので,それに合わせて現地野外調査及び研究計画の再構築を行った.
野外調査が実施できなかったため,今年度は主に既存試料の処理を進めた.特にタイ王国北部ランパン地域のペルム-三畳系境界付近の試料の処理を進め,含まれる有孔虫群集の年代データおよび堆積物の特徴を基に,境界層準の把握を行った.ランパン地域の炭酸塩岩層には概ね欠如の無いP-T境界層準がみられることが明らかになった.また,下部三畳系には層状の微生物岩や巨大ウーイド(ピソイド)を主体とする極浅海相がみられるが,層準的下位に卓越する前者にはdisaster分類群として知られているPostcladella kalhoriが,やや上位の層準に発達する後者には,P. kalhoriに形態的には似るが殻がやや密巻きで旋回数が少し多い形態の種が産する.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初の計画では,本年度は令和元年,2年度に実施を見送った野外調査をまずは実施する予定であったが,新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延が収まらず,中止となった.また,当初計画として本年度実施する予定であったタイ王国およびラオスでの野外調査も見送らざるを得なくなった.一方,研究初年度と2年度にタイ王国において実施した調査で採取した試料が手元にあるため,本年度はその処理を進めた.これらの試料には研究計画の中心となる層準からのものが含まれているため,科研費による補助事業を中止する事態には至っていないが,追加試料が必要な層準も複数あることから,研究の進捗状況としてはやや遅れていると判断した.

今後の研究の推進方策

研究期間の延長を行った令和4年度には,これまでの3年間に実施できなかったタイ王国での野外調査を実施する.これについては令和3年度の後半から現地研究協力者との打ち合わせを始めている.タイ王国については新型コロナによる入国制限も概ね解除されてきているので,期間延長した最終年度にはタイ王国北部ランパン地域および東部サケオ地域において2回の野外調査が実施できる予定である.
研究初年度,2年度に調査を行い,新しい研究成果を得ているタイ王国東部アランヤプラテート地域の三畳系層序および有孔虫群集に関しては,すでに得られている試料から令和3年度に追加のデータを得た.令和4年度はこの成果を論文化する.
これまで得られている岩石試料および令和4年度に実施予定の調査で採取する試料について,早急に処理を進める.

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルスの世界的な流行により,当該研究の重要項目であるタイ王国での野外地質調査が実行できなくなった.そのため,1年間の研究期間の延長を見越して,予算の繰り越しを行った.

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] Chulalongkorn University/Department of Mineral Resources(タイ)

    • 国名
      タイ
    • 外国機関名
      Chulalongkorn University/Department of Mineral Resources
  • [国際共同研究] Nanjing University/Nanjing Inst. Geol. Palaeont., CAS(中国)

    • 国名
      中国
    • 外国機関名
      Nanjing University/Nanjing Inst. Geol. Palaeont., CAS
  • [国際共同研究] University of Geneva(スイス)

    • 国名
      スイス
    • 外国機関名
      University of Geneva
  • [雑誌論文] Carboniferous fusuline Foraminifera: taxonomy, regional biostratigraphy, and palaeobiogeographic faunal development2022

    • 著者名/発表者名
      Ueno Katsumi
    • 雑誌名

      Geological Society, London, Special Publications

      巻: 512 ページ: 327~496

    • DOI

      10.1144/SP512-2021-107

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Thailandina and Neothailandina and their family Thailandinidae salvaged: a valid taxonomic group of peculiar Permian fusuline Foraminifer2021

    • 著者名/発表者名
      Ueno, K.
    • 雑誌名

      Journal of Paleontology

      巻: 96 ページ: 485-490

    • DOI

      10.1017/jpa.2021.88

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] First record of Late Pennsylvanian fusulinids from the North Tianshan belt, China2021

    • 著者名/発表者名
      Huang,X., Wang,Y., Ueno, K., Zhang, X.H., Jin, S.S. and Chen, J.T.
    • 雑誌名

      Geological Journal

      巻: 56 ページ: 6053-6072

    • DOI

      10.1002/gj.4307

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] An overview of fusuline succession across the Moscovian-Kasimovian boundary interval and the best correlatable level for the base-Kasimovian2021

    • 著者名/発表者名
      Ueno, K.
    • 学会等名
      Kasimovian Workshop, Subcommission on Carboniferous Stratigraphy, Smithsonian Institution (on-line)
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28  

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