研究課題/領域番号 |
18K03830
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
矢田 達 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 主任研究開発員 (00294877)
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研究分担者 |
奈良岡 浩 九州大学, 理学研究院, 教授 (20198386)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 惑星感塵 / 南極微隕石 / 有機物 / 生命起源物質 / 南極雪氷 / 顕微FT-IR / レーザーラマン分光 / DESI-Orbitrap MS |
研究実績の概要 |
原始地球にも大量に降下し、有力な生命起源物質供給源の候補と目されている、有機物に富む惑星感塵の相対存在度が地表で最も高いと考えられる南極雪氷から、水を介さずに昇華により含有される微粒子を回収するシステムを構築し、2kgの南極氷山氷・1kgのドームふじ基地雪からの昇華による回収物の実体・電子顕微鏡観察を行い4個の南極微隕石候補粒子を発見した。それらの粒子について金圧着を施した上で顕微FT-IR分析・レーザーラマン分光分析による有機化合物の熱変成の推定、DESI-Orbitrap質量分析による可溶性有機物種の同定を行った。FT-IR分析・レーザーラマン分光分析の結果、それら粒子に含まれる難溶性有機物は、比較的熱的影響の低い炭素質コンドライト隕石(マーチソン隕石)中の有機物と比較して高い熱的影響を履歴していることが推定された。これは大気圏突入時の加熱の影響を受けているものと推定される。また、DESI-Orbitrap質量分析ではそれらの粒子から粒子起源の可溶性有機物種は同定できなかった。この要因については、大気降下後の雪氷滞在中や昇華後の環境におけるエアロゾルの潮解による可溶性有機物の候補粒子からの溶脱が考えられる。今後の研究課題としては、より多くの南極雪氷から微粒子を回収すると共に、エアロゾルの潮解を回避しつつ試料をプロセスる為の工夫を施す必要がある。
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備考 |
東京大学大学院理学系研究科化学専攻 石川裕偉 修士論文 「南極の氷や雪中の南極微隕石の新しい回収方法」 2020年3月提出・受理
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