補助事業期間の最終年度として、本年度は以下の研究実績を得た。 応力集中源をもつシリコンの片持ち梁を作製し、この試験片を用いて湿度85%温度50度の条件下で圧縮疲労試験を実施した。11Hzの繰り返し負荷を100万回作用させた後に電子顕微鏡観察し、有限要素法解析による試験片のせん断と圧縮の応力場の解析画像と電子顕微鏡観察画像を比較した。この結果、シリコンの結晶の変形や疲労損傷と示唆される模様がせん断と圧縮の応力場に生じることが分かった。このことから、せん断と圧縮がシリコンの変形や疲労損傷と密接に関連する可能性を見出した。有限要素法解析を用いてシリコンマイクロミラーのねじれ座屈について検討し、ねじり疲労試験の動作範囲内においてねじり座屈の問題が生じないことを確認した。マテリアルリサーチインフラ事業を利用して、マイクロミラーの製作工程を検討し、製作工程にもとづいてマイクロミラーの寸法をファインチューニングした。またマイクロミラーの疲労試験において十分なねじり応力を得るために厚膜のPZT成膜が必要かつ重要な要素となる。このため、厚膜のPZT成膜と厚膜PZTエッチングについて詳細な検討を重ね製作工程を決定し製作に着手した。マスクレス露光機を用いたフォトマスク作製、ウエハ洗浄、熱酸化、フッ酸洗浄等、マイクロミラーの製作に取り組んだ。ねじり疲労試験を実施する際、ねじりの負荷レベルを決めるために、マイクロミラーの静的強度が必要になる。このため、マイクロねじり試験機について検討し、試験機構を設計した。
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