研究課題/領域番号 |
18K03847
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
荒井 正行 東京理科大学, 工学部機械工学科, 教授 (40371314)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | Brickモデル / 多角形平面充填構造 / き裂進展 / 破壊靭性値 / 有限要素解析 |
研究実績の概要 |
2019年度では,2018年度に開発したBrickモデルを拡張すべく長方形形状からn角形形状からなる平面充填モデルの定式化とそれに基づいた連続転位解析手法によるき裂進展シミュレーションコードを開発した。このような平面充填構造におけるn=6のケースについては,金属組織の微視的規則化モデルとしてこれまでに多くの研究がなされている。これに対して,最近ではバイオミメティクスの観点から,生体構造がn角形形状によりその微視的構造を特徴づけられることが明らかにされている。この様な観点から,TBC構造の改良とその機械的特性の改善のために,n角形平面充填構造とBrickモデルの融合は今後有用になるものと考えられた。このような研究背景に基づいてBrickモデルを多角形平面充填構造に拡張,定式化するとともに同定式化に基づいて数値シミュレーションコードを開発した。さらに,同コードを用いて,(1)n数とき裂進展経路の関係,(2)n数と破壊靭性値の関係,(3)負荷方向と組織異方性の関係を調べた。この結果,n数とともにき裂経路は組織界面を屈曲するようにして進展し,見かけ上の破壊靭性値も向上していくことが判明した。しかし,n=5以上になると平面充填構造の有用性が認められないという興味深い現象も認められた。負荷方向依存性については多角形の開き角の範囲でその依存性がき裂進展経路と破壊靭性値に影響を及ぼし,負荷方向が開き角を超えるとその依存性はリセットされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
これまでに開発を進めてきたBrickモデルのより一層の数学的な定式化を進めることができた。さらに同定式化に基づいて数値シミュレーションコードも新たに開発することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度に開発した多角形平面充填構造によるき裂進展シミュレーションコードに対して,界面の結合モデルにおける材料定数が同一値が与えられていた。しかし,現実的には,界面強度は統計的に分布している。このため,最終年度は界面強度にばらつきをもたせるとともに,多角形平面充填構造とフラクタリティーの数学的な関係を解明していく。この結果を今後のTBC開発に役立てていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額(B-A)として2,207円の差額が発生した.これは,消耗品購入に際して生じた端数金額である.当該差額については物品費に割り当てて次年度使用する.
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