構造物中に存在するき裂(クラック)は、突発的な脆性破壊を誘引して大事故に直結するため非破壊検査で検出すべき欠陥の最たるものである。本研究では、特に検知が困難である閉口き裂の検出精度向上を目的とし、超音波の伝ぱによるき裂の開閉口挙動を実験によって直接観察した。その結果、縦波超音波の引張相の入射時にはき裂は開口して波を反射し、圧縮相ではき裂が閉じて波を透過させる現象が視覚的に確認できた。 さらに、フェーズドアレイ法によってき裂部へ焦点を絞った集束波を入射させれば、平面波入射の場合と比較して、より高次の高調波まで明確に観測できることがわかった。
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