研究実績の概要 |
パワーデバイスは電力制御に用いられ、各種機器の電力低損失化に寄与する省エネのためのキーデバイスである。本研究では、パワーモジュールの高信頼性・長寿命化に向けた研究として、Wire-liftoff現象という熱応力負荷によるワイヤボンド部とはんだ接合部の損傷を研究対象とする。 2021年度は以下のような研究を実施した。(1)引張試験からアルミワイヤの引張試験から弾塑性構成式と遷移クリープ構成式を同時に求める手法を用いて、これらの温度依存構成式を求め、Microelectronics Reliability, Vol.123に研究論文を掲載した。(2) (1)で示した手法を補完するために、死荷重負荷によるクリープ試験を実施し、遷移域から定常域にわたる広い時間範囲でのアルミワイヤのクリープ構成式を求め、2022年度中の論文掲載を目指して、投稿論文を準備した。(3)パワーサイクル試験や熱サイクル試験のワイヤボンド部の疲労寿命を、機械的疲労試験よる疲労寿命で代替する目的で構築したピエゾアクチュエータ駆動の機械的疲労試験システムの疲労試験データから、パワーデバイスの設計寿命を評価するための設計線図を抽出する手法を提案した。その研究成果をエレクトロニクス実装学会誌Vol.24, No.6およびJ-STAGE早期公開(DOI: https://doi.org/10.5104/jiep.JIEP-D-21-00114)に論文掲載した。(4)ΔT*を経路積分を用いて計算するプログラムの開発を行った。(4)損傷パラメータ解析のための非弾性応力解析において、応力反転がある場合の遷移クリープの取り扱いについて修正ひずみ硬化則を考慮できる計算法を確立した。
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