本研究は、環境に悪影響を及ぼさず、荒加工から仕上げ加工まで対応できるような、新しいコンセプトに基づく純氷を結合剤とする砥石を開発することを目的としている。 令和3年度は、製作した砥石による更なる加工特性の調査を行った。また、砥石の寿命の延伸などを狙い、砥石が溶けるのを防ぐ手立ての効果について検証した。さらに、周囲の環境の違いによる砥石の加工性能への影響について検証した。 製作した砥石による加工特性の調査のための実験としては、ダイヤモンド砥粒と結合剤からなる砥石を製作し、それを用いて石英ガラスを工作物とした研磨加工実験を行った。そして、異なる砥粒径や加工圧力、加工時間、定盤回転数などの加工条件に対する加工特性について明らかにした。 砥石が溶けるのを防ぐ手立てについての検証実験としては、結合剤のみのブロックを製作した後、室温のまま何も処置せず放置したブロックと、ブロック周囲の温度を下げる工夫をしたブロックについて、時間に対するブロックの溶ける状態を調査し、ブロック周囲の温度を下げることについてのブロックの融解に対する効果について検証した。 環境の違いによる砥石の加工性能への影響についての検証実験としては、製作した砥石を用いて、石英ガラスを工作物とした研磨加工実験を行うにあたり、室温下での通常の加工、および、加工部を覆った簡易的なカバーの中に冷風を送り込んだ状態での加工を行い、周囲の環境の違いによる砥石の加工性能への影響について検証した。
|