研究課題/領域番号 |
18K03880
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
瀧野 日出雄 千葉工業大学, 工学部, 教授 (70633238)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | イオンビーム / 磁気レンズ / 四重極磁石 |
研究実績の概要 |
(1)イオンビーム収束特性の評価実験 磁気レンズ未使用の場合について,イオン電流プロファイルを測定した結果,イオンビームは円形であり,その大きさは直径約80mmであった.また,イオン電流のピーク値は0.017μAであった.次に,前年度製作した2段の四重極磁石からなる磁気レンズ(以下,2段磁気レンズ)を用いて同様の測定を行った.その結果,イオンビームは楕円で,大きさはX方向で約2mm,Z方向で約25mmであった.イオン電流のピーク値は0.83μAまで増加した.このように,磁気レンズによってイオンビームを収束させることができたが,X方向に比べてZ方向の収束は弱い.そこで下記(2)のようにイオン軌道をシミュレーションで調べたところ,3段の磁気レンズを用いることにより,Z方向にも収束できる可能性があることが示された.シミュレーションの結果に基づき3段磁気レンズを設計製作し,イオンビームの出力を確認できた. (2)イオン軌道のシミュレーション イオンガン出口でのイオンビーム径が6mmで,エミッタンスεrmsが8.6と17.2πmm-mrad の条件にて,被加工面に入射するイオン分布をシミュレーションした.磁気レンズ未使用の場合は,いずれのεrmsでもイオンビームは30×30mmの領域に広がっていた.2段磁気レンズを用いた場合は,εrms = 8.6と17.2 πmm-mradについて,イオン分布は,それぞれZ方向に9.7mmと22.5mmとなった.したがって,実験でZ方向の収束が弱かったのは,εrmsが大きかったためと考えられる.そこでZ方向の収束を向上させるために,3段磁気レンズの収束特性を調べた.その結果,εrms = 8.6と17.2 πmm-mradの場合,イオン分布はそれぞれZ方向に2.2mmと5.0mmに収束することがわかり,3段磁気レンズの有効性が示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3段磁気レンズが完成し,イオンビームの出力まで確認できたので,当初の計画どおり順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
3段磁気レンズを利用した場合について,イオン生成条件とイオンビームの収束特性を明らかにする.また,生成したイオンビームによる加工実験を実施する.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響で,発注したイオンゲージの製作が発注先で遅延し,今年度内に納品されなかったため,次年度使用額が生じた.次年度6月には納品予定なので,未使用額はそれに充てる.
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