研究課題/領域番号 |
18K03885
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研究機関 | 豊田工業大学 |
研究代表者 |
古谷 克司 豊田工業大学, 工学部, 教授 (00238685)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 電解放電加工 / 板ばね / 泡 / ガラス / 絶縁体 / 電流波形 / 張力 / 力制御 |
研究実績の概要 |
ガラス,圧電セラミックスなどの無機絶縁体への微細加工法は進展が遅れている.電解放電加工では電解液中で放電を起こすことで絶縁体に微細形状を創成することができ,かつ,装置を小型に構成できる.そこで本研究では,電解放電加工法において,特にその加工性能(精度,速度等)を改善することを目的とする.そのために,10mNオーダの押し付け力を制御できる電極保持機構を試作するとともに,加工現象を詳細に観察することで加工誤差の発生過程を明らかにする.今年度は次の2項目を行った. (1)工具電極押付力制御機構の試作 加工中には10mNオーダの力で電極を工作物に押し付ける.その力を制御するために変位センサを組み込んだ工具ホルダを開発するが,その最も重要な構成部品である支持機構の構造を検討した.薄板の周りをロの字形の枠で単純に挟み込むだけではたるみが生じて,微小変位時の剛性が低いことが明らかになった.U字形ばねで四方から指示する方法でも,微小変位時にはねじれや傾きが生じた.そのため,ロの字形の枠の薄板と接触する両面に凹凸をつけて,挟み込む際に張力が加わるようにする構造を新たに考案した. (2)印加電圧および初期間隙が加工形状に与える影響 電解放電加工において加工中でも変化できる加工条件は印加電圧である.また,工具電極の送りが遅れた場合には工具電極と工作物との間隙が広がり,加工領域が広がる可能性がある.それらの影響を実験的に調べた.泡の発生が多く放電頻度が少ない45Vまでは加工量,加工範囲ともに増加した.さらに印加電圧を高くすると放電頻度が高くなるが,加工量,加工範囲ともに減少した.放電電流波形に対しては初期間隙の影響はなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画では,工具電極を支持するために旋盤加工の切込み方向と送りの2方向との剛性の差を大きくする機構を開発した後に,工具電極押付力制御機構に組み込み,性能評価をする予定であった.しかし,板ばねの初期たわみが微小変位に与える影響が予想以上に大きいことが明らかになった.また,計画していたU字形ばねでも微小変位に対しては効果がないことが明らかになった.そのため,張力をかけながらばねとして働く部材を固定する方法の検討に時間を要した. 一方,加工特性の基礎検討として,印加電圧および工具電極と工作物の初期間隙の影響を実験的に調べた.これについては当初計画よりも進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
板ばね機構のめどが立ったため,これを2組用いた工具電極支持機構を製作し,基本的な性能評価を行う予定である. 泡の発生量の定量的な評価法を検討する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画を一部入れ替えて,加工特性の検討の一部を優先し,工具電極支持機構の製作を後回しにしたため,自動ステージの購入を来年度とした.放電電流波形データ保存用のハードディスクの納入が遅れて年度をまたいでしまった.板ばね機構の部品製作は精密加工が必要であるため外注も想定していたが,学内ですべて実施できたため,安価に済んだ.
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