研究課題/領域番号 |
18K03889
|
研究機関 | 一関工業高等専門学校 |
研究代表者 |
原 圭祐 一関工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (30515812)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | トライボ試験 / 3次元形状 / テクスチャ面創生 |
研究実績の概要 |
本研究課題では,超音波ミーリングにより,3次元曲面への規則テクスチャ生成と被削性の改善とを両立した,付加価値のある加工技術を構築することを目的とする.平成30年度に,既存の超音波スピンドルを搭載した,卓上超音波ミーリング加工装置の構築を行い,これを用いた超音波ミーリングの試験を行っている.3次元形状の加工に先行して,試験装置の評価を目的に,難削材であるコバルト合金の側面切削試験を行い,工具損傷の程度と切削面に残されるバリの高さで被削性改善の評価を行った.超音波振動の有無で切削試験した面のバリ高さを評価したところ,切削面の縁に生じるバリの減少を認めた.また,切削面を顕微鏡観察した結果,超音波切削面にはわずかではあるが超音波振動で生じたと考えられる規則テクスチャらしき模様が確認できた.しかし,構成刃先付着の影響が大きく,満足なテクスチャ面を得られなかった.平成31年度は本加工装置のプログラム開発を継続しており,令和2年度前半には目途が立つ予定である. 平成31年度は,3次元形状の試験片に対しトライボロジー試験を行う試験装置の設計ならびに製作を行った.装置は3軸の直動機構と2軸の回転機構を有する5軸位置決め機構となっており,筐体は完成している.今後,装置の動作プログラムの開発を行い,任意曲面に対しトライボ試験を行えるようにする計画である.また,旋削加工に対してであるが,新たなテクスチャ面創生加工についても研究を行った.従来のきさげ加工に近いテクスチャを超音波切削で行うものである.試験切削面を3次元形状測定した結果,まだ改善の余地はあるが,概ね目標となる形状のテクスチャが得られることを確認した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初,初年度までに加工機の制御系までを完成させ,CAMソフトで生成したプログラムを用いた3次元曲面切削の実現を目標としていたが,現時点で達成できていない.しかし,切削試験装置自体は完成し,簡単ではあるが,ミーリングを実現できていること,じきに完成の目途たっていることから,「やや遅れている」との判断とした.今後は,加工機の制御方式を改善し,まずは傾斜面への任意形状の規則テクスチャを創生できるように改善を行う予定である. また,3次元形状のトライボロジー試験を行う装置も制御系を除いて完成しており,こちらは概ね予定通りの進捗であると考えている.
|
今後の研究の推進方策 |
まず,加工機の制御系の構築を最優先課題として引き続き研究を進める.現在,汎用の制御システムである,NI DAQとLabVIEWを用いた方法で開発を続けている.この方式ならば,拡張性が高く,超音波振動の信号を取得し,それをもとに,規則テクスチャ生成パラメータを融合した制御を実現できると考えている. また,3次元形状トライボロジー試験装置についても制御系の構築を継続して行う.
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度実施の加工機の製作については,同時期に類似研究の取り組みがあり,それと設備(3次元超音波ミーリング加工装置)を共有し,他予算で購入するものが多かったため,その分の支出予算が減少している.平成31年度分配分額が800千円に対し執行額は1,025千円と上回っており,繰越額は減少している.
|