2021年度は,引き続き,1)3次元曲面のトライボロジー特性を評価するシステムの開発,2)3次元テクスチャ加工機の構築,3)3次元曲面へのテクスチャ加工を行った. 1)のトライボロジー特性評価装置は,3軸の直動機構と2軸の回転機構を有し,摩擦ピン(SUS304など)を測定物に対して垂直に押し当て,垂直荷重を与えた状態で摺動させて,接線方向に作用する摩擦力をロードセルで測定するものである.装置は設計,部品製作,組立,制御システムの構築,動作試験までを完了していた.動作試験の結果,移動速度が高いと,振動を発生したため,装置の構造を見直し(軽量化,低重心化),再構築を行った.装置のハードウェア構成までを完了させたが,プログラムの変更までは達成できなかった. 2)の3次元形状テクスチャ加工機は,装置の組立,制御プログラムの開発と,CAMで制作したGコードNCプログラム実行による加工動作ができることを確認している.テクスチャ加工のための粗加工,中仕上げ加工も問題なく実行できた. 3)の同時3軸駆動による超音波ミーリングテクスチャ加工であるが,2)で構築した装置と市販のボールエンドミルを用い,アルミニウム合金A2017の試験片に曲面形状の加工試験を行った.実験の結果,超音波ミーリングでは切削痕に通常の切削では見られない周期的な模様が見られた.これをレーザ顕微鏡で観察した結果,凹凸が生じていることが確認できた.またそのピッチは,回転速度,超音波振動の周波数から求めた理論ピッチと誤差10%以内で一致することを確認,超音波振動により生じたものと結論付けた. 今後の予定であるが,1)の3次元トライボロジー特性評価システムを完成させること,テクスチャ加工の理論を取りまとめ,その技術を特許化し,その後学会誌に公表する計画である.
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