物体表面へ数ミクロンから数百ミクロン間隔の微細凹凸を創成することで摩擦が制御できる。これを航空機や発電機、工作機械といった大型産業機械のしゅう動面に適用して低摩擦化を達成できれば、その機械効率は飛躍的に向上する。これを実現するためには、耐摩耗性が高い微細凹凸を高精度かつ高能率に大面積のしゅう動面へ加工する技術が要求されるが、既存技術では実用に十分耐えうる微細凹凸の加工技術は存在しないのが現状である。本研究ではこのような状況を勘案し、転写ローレット加工 (塑性加工)に超音波を複合することで、既存加工技術で不可能だった大面積のしゅう動面へ微細凹凸を創成できる加工技術 「MUK(Micro Ultrasonic Knurling)」を開発することを目的とする。 上記の目的を達成するために、押付力や摩擦力をセンシング可能な超音波と転写ローレット加工を複合した微細凹凸加工技術(MUK)加工機を用いて、比較的簡単な形状の試験片を加工する実験を行った。超音波振動を加えながらテクスチャを転写する実験によって、超音波振動を加えながら加工することの有効性を確認した。超音波振動の振動数と加工効率との県警について実験で明らかにすることができた。また、やや複雑な形状の試験片に対しても超音波振動を加えながら加工することの有効性を確認することができた。これらのことにより、前年度に得られた結果も含めて、微細凹凸を加工する際の最適な押付力や超音波振動の振動数などのMUK加工条件の決定指針を確立することができた。
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