研究課題/領域番号 |
18K03900
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
篠田 淳一 明治大学, 研究・知財戦略機構(中野), 研究推進員 (60266880)
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研究分担者 |
ディアゴ ルイス・アリエル 明治大学, 研究・知財戦略機構(中野), 研究推進員 (20467020)
奈良 知惠 明治大学, 研究・知財戦略機構(中野), 研究推進員(客員研究員) (40147898)
サブチェンコ マリア 明治大学, 研究・知財戦略機構(中野), 研究推進員(共同研究員) (40599304) [辞退]
萩原 一郎 明治大学, 研究・知財戦略機構(中野), 特任教授 (50282843)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 折紙工学 / 実物モデル / 折紙展開図 / 木構造 / 折紙ロボット |
研究実績の概要 |
本研究により開発したシステムを用いて座っても足をのばしても漏れない赤ちゃんオムツは製品に結びついた。鶴や亀など日本伝統の折り紙を折り紙ロボットで折らせることは関連研究の一つの目標であるが、その構造や機能などは複雑の一途を辿りその設計検討がいつの間にか中心となってしまい本来の目標は忘れられたかの印象でもある。人間より器用さで劣るロボットでも折れるためには、折り紙の展開図を変えればよいとの考えに至った。これは、研究代表者らが取得した特許「三次元構造物の製造方法、三次元構造物の製造装置、及び、プログラム、特許第6198107号(2017年9月1日)」によれば、折上げられた構造は同じでも、展開図は無数にあることが得られたことによる。その中にロボットでも折れる展開図を必ず見つけることができる確信を得た。具体的には展開図から得られる木構造であるが、これまで定評のある折り紙の展開図は全て閉じた木構造になっており、折り曲げ部分だけでなく既に折った所まで曲げが伝わり最初に折ったところが崩れるためであることが分かった。またこれにより、折れ線のところで折ることによりコンパクトに折畳んで保存できることも分かった。つまり本研究の最大目的のコンパクトに折畳んで保存するには開の木構造を有す展開図を用いればよいことが分かった。そこで自動的に閉じた木構造を開いた木構造とする検討を行った。鶴や亀など定評ある遊戯折り紙ではこの操作は比較的容易であることを示した。上記の特許によれば、より複雑な例えば人間の等身大の展開図も作れる。この場合、展開図は複数に亘る。自動的に各展開図の木構造の開、または閉かの判断の自動化は得られた。閉の木構造を開の木構造にするには適切に切り取る部分の選択と切り取り部を他の展開図につなぐ操作が必要となる。これについては次年度実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述のように、鶴や亀など我が国伝統の遊戯折り紙が何故人間より器用さで劣るロボットで折れないのかの原因は、これまで定評あ る折り紙の展開図の木構造は閉構造であるためであることを示した。これを開構造となる展開図に変えることにより、折る、糊付けする程度の機能を有す代表者ら開発の折紙ロボットでも折れる展開図にすることが可能となることを示した。展開図の木構造が閉であれば折れ線を折っても歪んでしまい、歪みを是正すれば折れ線以外のところで折って保存となり不都合が生じる。開構造であれば折れ線のところだけ折ることができ、持ち運んだあとでも美しい折り紙が得られることとなる。これは新たな発見である。この考えにより大方の折り紙は代表者らのロボットでも折上げることが可能となった。更に、代表者らの特許「三次元構造物の製造方法、三次元構造物の製造装置、及び、プログラム、特許第6198107号(2017年9月1日)」によれば、人間の等身大の実物モデルの、複数からなる展開図が得られる。それぞれ自動的に開か閉かの判断ができるようにしたことは予定より進んでいる。但し、これに関する正式論文は未提出であることから「おおむね順調」としている
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今後の研究の推進方策 |
代表者らの特許「三次元構造物の製造方法、三次元構造物の製造装置、及び、プログラム、特許第6198107号(2017年9月1日)」により、人間の等身大の実物モデルの、複数からなる展開図が得られる。これまで、それぞれの展開図が自動的に開か閉かの判断ができるようにした。これに関する正式論文の提出。閉の木構造と判断の時、閉の木構造から適切に切り取る部分の選択と切り取り部を他の展開図につなぎ開の木構造とするアルゴリズム及びそのシステムの構築を行う。これまでに開発したロボットに回転機能を加え、人間の等身大の画像処理→複数の展開図の生成→各展開図の木構造の生成→各木構造の開か閉かの確認→閉の木構造が存在→全て開構造の実現→開の木構造対象にロボットで折り上げ。以上、全自動化を目指す。 そして、この方式で全自動が可能な構造、人間の手を加える必要のある構造を明確にする。
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次年度使用額が生じた理由 |
折紙式プリンターのための折紙ロボットに関して、これまでのレゴタイプからより汎用性のあるものを目指したが、部品など積層型の3Dプリンターで安価に製造することができた。コンパクトな保存は、結局は展開図全て開いた木構造にすればよいことが分かり、ここで一挙に非常に複雑なものまで可能にするアルゴリズムが開発できる見通しが得られた。そのアルゴリズムの開発は最終年度の前半にやり遂げ、後半直ぐのシステム化の外注用に取っておくこととした。
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