本研究の最終的な用途は、ウェアラブルコンピュータ、フレキシブルテレビ等多岐にわたるもので、イノベーションにより生活様式を変革させる可能性を有する。本研究では、産業界で問題となっているフレキシブル有機半導体素子の剥離損傷(バックリング)防止技術および評価・設計手法の確立を目指し、フレキシブル基板上の有機半導体素子が圧縮歪を受ける時の、(1)剥離損傷(バックリング)の評価手法の確立、(2) 剥離損傷に及ぼす有機材料、密着力の影響の検討ならびに防止手法の提案、(3)力学モデル解析による圧縮曲げ変形時の剥離メカニズムの解明と力学設計手法の構築を行った。成果としては、上記(1)および(3)の一部については日本実験力学会の英文誌(2019年8月)に掲載済であり、(2)については国際会議で2件をポスター発表(2019年10月)済で、それらの一部は、日本実験力学会の英文誌(2020年9月)に掲載済みである。コロナ禍の影響で実験の進捗や国際学会での発表準備が遅れたが、考察なども含めて2022年度に国際学会でポスター発表することができた。さらに、(3)の一部については、国際シンポジウム(2021年11月、オンライン開催)で口頭発表済であったが、追加のデータや考察を加えて論文投稿し、日本実験力学会の英文誌(2023年8月)への掲載がacceptされた。以上ように、本研究で対象とした実施内容、目的、目標を達成することができた。
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