研究課題/領域番号 |
18K03904
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
松浦 大輔 東京工業大学, 工学院, 特任准教授 (40618740)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 磁気テザー / 磁気駆動 / 磁束密度フィードバック |
研究実績の概要 |
2019年度は,(B)マイクロ空間弾性機構の非接触磁気駆動手法の開発について,主に取り組んだ.本研究では,昨年度にマイクロ弾性構造物の所望の変形(出力運動)を達成するのに最適な磁力の方向と強さを求める機構学・力学的解析方法について研究しており,本年度に行った研究内容はこの解析で求められた磁力を実現するために必要な各コイルの励磁電流を求める逆問題を解くためのものである. 具体的には,まず1本の磁極について,磁極の後端に取り付けたホールセンサと磁極先端側の作業領域近傍に設置したホールセンサを用いて,磁極後端のホール素子の測定電圧から先端側に発生する磁場強度の推定式を実験的に求める方法の研究,およびこれを用いて磁束密度フィードバックループを用いて磁気テザーの駆動電流を制御するための制御系の構築を行った.これまでに,1本の磁極について,解析で得られた電流を磁極の駆動コイルに印加し,磁束密度フィードバック制御系によりこれを修正する駆動実験を行った結果,目標とする磁極先端の作業領域側の磁束密度が達成されることが確かめられた.実際の磁気テザー装置では,磁気回路を構成する複数の磁極の形状や印加電流に対する磁化が完全に同じではないため,磁束密度フィードバックによりこの影響を見越して作業空間内の磁力を所望の強さと方向に保つ技術は非常に重要である.現在は,2本以上の磁極を用いた1次元の磁力制御に引き続き取り組んでおり,ここから得られた知見に基づいて 2本より多い磁極を用いた2次元および3次元の磁気テザーの精密な発生磁力制御を実現させ,マイクロ空間弾性機構の造形および駆動の実現を目指している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度に行ったマイクロ空間弾性機構の運動学・力学解析に続き,今年度はその駆動に必要となる磁気テザーの制御則に関する研究を行い,作業空間内の所望の目標磁力の発生に必要な駆動電流の計算方法および装置に取り付けたセンサからの信号の処理およびフィードバック制御則の構築を行った.1本の磁極の発生磁力について,実験装置を用いた駆動実験を行い,期待通りの結果が得られており,研究は概ね順調に伸展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
現在取り組んでいる2本以上の磁極を用いた1次元の磁力制御を完成させ,2本より多い磁極を用いた2次元および3次元の磁気テザーの精密な発生磁力制御を実現させ,マイクロ空間弾性機構の造形および駆動の実現を目指す.この技術を応用して,作業空間内にマイクロ弾性機構を構成する磁性微粒子をひとつずつ導入し,磁気テザーで捕獲後に目標位置へ位置決めし,接着していく技術を開発することを課題としている.
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度の9月~12月に米国へのサバティカル研修があったため,実験装置の拡充より理論研究を優先させたため,使用額が事前計画より少なくなった. 未執行分は,次年度の実験装置の改造および試料の作成等に使用する.
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