研究課題/領域番号 |
18K03910
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
渡邉 智 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 助教 (80579839)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | マイクロソフトアクチュエーター / マスク露光 / ソフトロボット |
研究実績の概要 |
前年度(2018度)で確立したゲルアクチュエーターの作製法を元にして、①ゲルアクチュエーターの微細化と②ゲルアクチュエーターを組み合わせたゲルロボットを作製した。①:サブミクロンスケールでのゲルアクチュエーターを作成するために、フォトマスクを利用した光重合を行った。具体的には、幅100マイクロメートル、長さ1センチメートルのスリットを持つメタルマスクをNd酸化物ナノ粒子分散ゲル前駆体溶液を入れたガラスセルに貼り付け、紫外線露光してゲル化した。光照射した部分のマイクロゲルロッドが形成した。このマイクロゲルロッドをYb酸化物ナノ粒子分散ゲル前駆体液が入ったガラスセルに入れて、ゲルロッドに垂直になるように紫外線照射を行って、YbゲルロッドをNdゲルロッド上に作製した。得られた十字上のゲルロッドに808 nmと980 nmの近赤外光を各々当てると、照射波長に応じたゲルロッドの収縮が見られた。マイクロメートルレベルで光応答ゲルアクチュエータを複数動作できた世界で初めての例であり、リモートコントロール可能なマイクロマシンへの実現に大きく近づいた。 ②まず厚さ1ミリメートル、面積1平方センチメートルのゲルシートの表(おもて)面にNd酸化物ナノ粒子層、裏面にYb酸化物ナノ粒子層を形成させ、808 nmと980 nmの近赤外光を照射したときに、それぞれ表面、裏面側に収縮するゲルアクチュエータシートを作製した。このゲルシートにカッターナイフで5 mm毎に切れ込みを短冊状に入れ、その短冊ゲルシートを筒状に丸めて短冊に切っていない部分を光重合で硬化させた。このサンプルに近赤外光を照射すると、波長に応じてイソギンチャクのように開いたり、閉じたりするイソギンチャクロボットを作製できた。①の技術と組み合わせると、マイクロスケールでソフトロボットを形成できる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の目標であった多波長応答マイクロアクチュエータの作製に成功した。また、現在はミリメートルサイズであるがアクチュエーターシートを成型してゲルロボットのデモンストレーションに成功し、マイクロマシン作製への可能性を切り開いた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、数十マイクロメートルレベルへのスケールダウンを目指した研究と、そのスケールにおけるアクチュエーターの集積を行う。このほかにも、波長選択性のある光熱変換材料を用いてアクチュエーター以外の応用の探索も進める。
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