本研究は,自発的に推進運動する液滴を駆動源として用いた,自律駆動型マイクロポンプを開発することを主目的としている.昨年度までに,ラチェット様構造を設けたマイクロ流路を用いることで,自己推進運動する液滴の運動方向やその速度を制御するための指針を得ることに成功している.加えて,マイクロポンプのプロトタイプを作製し,今後取り組むべき課題の洗い出しを行ってきた. 今年度は,昨年度までに得られた成果をもとに,開発したマイクロポンプの最適化と実装に向けた検証を行った.駆動源として利用する自己推進液滴をポンプに導入すると,その体積に応じてポンプの流量が変化すること,最適な液滴体積が存在することが明らかになった.また,マイクロポンプとして用いるマイクロ流路の形状デザインにも適したものがあることが分かった.これらの結果を活用してマイクロポンプを最適化し送液試験を実施したところ,約13nl/minの流量で連続的にサンプル液を送液することに成功した. 得られた成果は国内外の学会で発表しており,現在論文投稿を進めている.
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