研究実績の概要 |
平成30年度には高強度な竹粉成形体を作製するため,繊維強化により竹粉成形体の高強度化を図り,作製した竹粉成形体の強度特性を明確にする計画としていた.竹粉成形体の利点を生かすため,同じく天然植物の竹繊維を使用し,歯車材料として使用されているポリアセタール(曲げ強度90 MPa)以上の強度を得ることを目標としていた. そのために,竹繊維強化竹粉成形材料の強度に及ぼす成形温度の影響と繊維体積率の影響について調査した.竹繊維と竹粉を用いたプレス成形体の強度特性を調査するために,竹粉と竹繊維で繊維体積率(30%,50%,70%),成形温度(160℃,180℃,200℃)を変えて引張試験片および曲げ試験片を製作して試験を行った. その結果,1)から3)のことを明らかにした.1)成形温度の違い(繊維50%)で最も強度が高かったのは180℃の成形体で,曲げ強度は86.3MPaであった.また,成形温度を上げれば繊維自体の強度が落ちてしまうため,今回の成形条件では180℃が最も高い強度を示すことを見出した.また,繊維含有率の違い(成形温度180℃)で最も強度が高かったのは繊維70%の成形体で,曲げ強度は101.4MPaであった.繊維体積率を上げると強度も上昇した.2)曲げ弾性係数に関して,成形温度の違いでは有意差は見られなかった.また,繊維含有率に関しては,最大値は繊維70%で13.3GPaを示した.3)作製した成形体のなかで成形温度180℃,繊維含有率70%の条件の成形体が曲げ強度101.4MPaと最も高い強度を示した.この数値はポリアセタール,ポリカーボネートなどの汎用エンジニアリングプラスチックと同程度の曲げ強度を示し,今年度の目標を達成したといえる.
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