研究課題/領域番号 |
18K03921
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大谷 清伸 東北大学, 流体科学研究所, 特任准教授 (80536748)
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研究分担者 |
小川 俊広 東北大学, 流体科学研究所, 技術専門員 (30375133)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 衝撃波圧力制御 / 水中衝撃波 / 水中膨張波 / 圧力増幅 / 閉空間 / 音響インピーダンス / 光学可視化計測 |
研究実績の概要 |
本研究では、衝撃波医療応用における重要な研究課題である衝撃波生体損傷に関して、その重要な要素である衝撃波および膨張波による圧力波の生体との干渉による衝撃波生体損傷の機序解明のための生体模擬物質で構成された生体模擬モデルを用いた工学的実験で使用する制御された圧力波形を持つ新規衝撃波発生方法の確立を目的として、媒体の音響インピーダンス(密度と音速の積)の違いによる衝撃波干渉挙動に注目した材料構成による単純形状の閉空間で衝撃波を発生させ、衝撃波圧力正・負(膨張波)、最大過剰圧、パルス幅等を制御する方法確立を行うものである。制御方法確立のための衝撃波干渉挙動の現象の把握は、高時間・空間分解能の光学可視化計測および圧力計測によって明らかにしていく。令和元年度の計画研究項目は、項目2-閉空間内衝撃波干渉による最大過剰圧の増加方法の確立、項目3-膨張波による負圧を伴わない衝撃波発生方法の確立に関しての実験的取り組みと、項目4-閉空間内における衝撃波挙動の数値解析的解明と実験結果との比較、検証を行うことである。微小爆薬起爆による衝撃波を用いて、項目-2の最大過剰圧の増加方法の確立のため、衝撃波反射率の高い、音響インピーダンスを考慮した材料で、管内の反射距離の調整により効果的に圧力の増幅が行われることが確認できた。また、繰り返し衝撃波発生が容易なパルス放電装置を用いて、円管閉空間内で衝撃波挙動実験を実施し、これまで得られた閉空間を用いた増幅した衝撃波圧力発生挙動を確認することができた。項目-3の膨張波による負圧を伴わない衝撃波発生方法の確立に関しては、数値解析的に管内部形状の違いによる負圧発生の機序解明を行うことで、膨張波発生の主原因を特定し次年度の実験的検証に繋がる知見が得られた。また、数値解析より、より効果的な圧力増幅を行う形状に関する知見が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和元年度の当初の研究計画では研究項目3-膨張波による負圧を伴わない衝撃波発生方法の確立に関しては実験的に取り組む予定であったが、数値解析的に管内部形状の違いによる負圧発生の機序解明を行い、膨張波発生の主原因特定を優先して行った。よって実験的な方法確立には至っていないが、得られた知見を考慮することで衝撃波のみの水中衝撃波発生方法を見いだせるため手法確立に近づいていると考える。また、他に予定していた研究項目に関しては、全て順調に進んでいるため、本研究はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は昨年度までに得られた知見として、円管閉空間内での衝撃波伝播による反射挙動、膨張波発生の挙動を考慮した管内形状を用いて、衝撃波圧力、パルス幅等制御と衝撃波のみの水中衝撃波発生方法の確立を実験的に検証していく予定である。また、パルス放電装置を用いた、制御された衝撃波の繰り返し発生装置の検討を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
膨張波(負圧)の発生を伴わない衝撃波発生方法の確立のための円管内部形状の違いによる検証を実験的に進めずに、数値解析により膨張波発生の原因特定を優先して行ったため、実験に係る消耗品購入額が減少した。最終年度には、実験的にこれまで得られた知見から導かれる管内形状を用いた、制御された衝撃波発生方法の確立を実験的に検証していくため、実験回数が多くなるため、その費用あてる予定である。
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