初年度:理論解析・数値解析に基づき供試マイクロインデューサ(直径20㎜)を設計した。 第二年度:補器類(回転軸、軸受、可視化窓付試験部、流量計、圧力計、温度計)を組付けた装置を試作した。水を用いた予備試験を実施しJAXAより貸与されたロケットインデューサ(直径65.3㎜)とポンプ性能の比較を実施し、翼端隙間/インデューサ直径の比のスケール効果の解明に取り組んだ。一定の結果が出たが、マイクロインデューサを駆動する回転系のトルク不足により、特に低流量条件で回転数が安定せず正確なデータの取得が困難だった。 第三年度:回転数安定化を図るべく回転系のトルクを増強した。コロナウィルスの影響で実験が実施できなかったため、代わりに水素試験用装置の改良設計を行った。特にメカニカルシールは、液体水素用の構造(気密性、耐低温脆性、防爆性)を取ると、質量・体積が大きくなり、回転軸の振れ回りが激しくなると予測された。そこで、製造メーカと伴に設計と検討の試行錯誤を繰り返した。 第四年度:懸案の水・液体窒素・液体水素いずれでも使用可能なメカニカルシールの製作が完了した。これに伴い第三年度までの問題点を根本的に解決し液体水素試験用試験装置の準備を整えるため、回転系のトルク向上、液体水素で使用可能な材料を使用した可視化部の整備、熱応力も考慮した配管系整備などを実施した。第四年度の結果を1編の国際ジャーナル、1編の国内ジャーナル、1回の国内学会で発表した。 コロナウィルスと付随する世界的な半導体不足により物品納入が遅れ、試験時間が十分に取れなかったものの、本補助金で整えた装置により今後、液体水素キャビテーションの可視化とPIV計測の試験を継続し、今後の水素社会の構築に資する知見を得ていく予定である。 本補助金により初年度からの累計で、5編の国際ジャーナル、1編の国内ジャーナル、2回の国際会議、5回の国内学会で発表した。
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