研究実績の概要 |
工学的に重要な壁面に沿って流れる乱流場(壁面乱流場)における高レイノルズ数効果の解明を目的として、チャンネル乱流場を対象として、スペクトル法に基づく高精度直接数値計算(DNS)を実施した。十分に長い時間積分を行うことにより、摩擦レイノルズ数(Re_tau)8000までの平均速度、レイノルズ応力、乱流エネルギ及びその散逸率の輸送方程式に関するデータベースを構築した。 本レイノルズ数の範囲では、対数領域における局所平衡(乱流エネルギ=乱流散逸率)は確認できず、乱流エネルギが乱流散逸率を上回っていことを確認した、しかし乱流散逸率自体はレイノルズ数の増加に伴い顕著な等方化傾向が出現していることが確認できた。 高レイノルズ数壁面乱流場における大規模構造の高精度予測が可能な乱流モデル(Large Eddy Simulation, LES)のSGS(sub-grid scale)モデルについて検討した結果、DNSの80分の1程度の格子数でDNSと同等のスペクトル分布予測が可能となった。本SGSモデルを使用して、DNSデータが存在しない、Re_tau=16000規模のLES計算を実行した。 さらにスーパーコンピュータ富岳を対象とした百万並列規模のぺタスケールDNSコードの開発を実行しそのテスト計算及び性能評価を実施した。 今後はぺタスケールDNSコードを用いた摩擦レイノルズ数・数万規模のDNSに挑戦し、本研究で得られた理論・モデル計算結果の妥当性を検討することが課題である。
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