研究課題/領域番号 |
18K03924
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
内山 知実 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 教授 (90193911)
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研究分担者 |
出川 智啓 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 助教 (80402551) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 混相流 / 制御 / 渦輪 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,液体中で気泡を集めて気泡塊を創成し,所望の位置まで輸送する,気泡塊のハンドリング技術を開発することである.液体中に渦輪を射出し,その渦運動により気泡を巻き込んで気泡塊を創成し,射出後の併進運動で気泡塊を輸送する独創的な混相流のハンドリング技術である.初年度は,気泡塊の創成条件を実験で同定することを目指した. 透明樹脂製のタンクに水を貯め,シリンダ(内径42.5 mm)とピストンからなる渦輪射出装置をタンク底面に設置した.スライダでピストンを押し上げて渦輪を鉛直上方に向けて水中に射出した.シリンダ出口の外周に気泡注入管(孔径0.26 mm)を取り付け,樹脂製チューブでプランジャに接続した.プランジャを押し上げることにより,気泡(直径約3.5 mm)が連続的に気泡注入管から水中に放出される.上記スライダの押上とプランジャの押上を多関節のリンク機構で連携させ,渦輪射出と気泡放出のタイミングを任意に設定できるようにした.スライダの押上は,パソコンで速度と変位を制御されるアクチュエータを用いた. 水性塗料で可視化された渦輪および気泡の運動をビデオカメラで撮影し,渦輪射出に対する気泡放出のタイミングを変えたときの撮影結果を検討した.その結果,渦輪の射出強度が低いすなわち渦輪強度が低い場合には,渦輪は気泡を内部に巻き込むことができず,気泡塊は創成できない.ところが,射出強度が一定値よりも高いすなわち渦輪強度が高い場合には,渦輪は内部で気泡塊を生成できることを発見できた. 渦輪が射出されて時間が経過した後に放出された気泡は,渦輪に巻き込まれることなく,水中を浮力で上昇していくことが判明したため,気泡の放出時期を渦輪射出直後に限定した実験を実施した.その結果,放出されたほほすべての気泡が渦輪に巻き込まれ,気泡塊を高効率で創成できることも見出した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究当初に予定していた,気泡塊の創成に関する実験の約70%を実行でき,創成を実現するための渦輪射出と気泡放出の条件をほぼ同定できた. 年度の途中で研究分担者が民間企業に転出し分担者が不在となったため,予定した全項目の実験の実施には至らなかった.学生による研究補助を有効に利用すれば,より成果を蓄積できたのではないかとの反省がある.
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究は概ね順調であったことから,本年度も現有装置を継続利用して着実に研究を進めれば,一定の成果を挙げられるものと判断している. 今後の目標・目的は,創成した気泡塊の有効な輸送方法を見出すことであり,渦輪の併進運動の利用を想定している.昨年度と同様な流れの可視化技術を用い,輸送機構を明らかにすることを目指す.
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