研究成果の概要 |
温水・冷水の数十度の温度差だけをエネルギー源として,混合気体を分離・濃縮可能であることが実験的に示された.試作した実験装置は,温水・冷水の供給があれば,格段に制御しなくても材料気体を吸引し成分を濃縮・加圧して排出する能力を有している.これは, 従来の混合気体濃縮のいずれの手法とも異なる性質である. 微細孔を有する多孔膜の表裏の温度差が, 膜を通過する熱遷移流を誘起し, それが多孔膜を周回する間に分子交換される構造であり, 運動する部品が無いので頑丈である. 現時点では温冷水の必要量が多いため,効率の改善が望まれる.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
混合気体・同位体の分離は工業および環境に関連して新規なアイデアが求められている. 本研究は, 低品位廃熱程度の温度差をエネルギー源として, 混合気体の成分を分離・濃縮する,新しい方法を提案するものである.熱遷移流の効率的駆動方法や, それに代わる駆動方法を組み合わせれば, 大きな社会的意義を有するものになるだろう. 研究中には, 分子気体流の解析効率を数桁向上させるアイデアも提案している.これは,現在巨大計算が必須である分子気体解析を実用的レベルで可能にする点で,大きな学術的意義を有している.
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