研究課題/領域番号 |
18K03931
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
尾形 陽一 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 准教授 (10323792)
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研究分担者 |
西田 恵哉 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (90156076)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 脈動流 / エンジン / 壁面熱伝達 / 気液二相流 |
研究実績の概要 |
今年度研究計画の一つである直管・曲り管内の高温・高周波脈動流動場特性と壁面熱伝達の相関を明らかにするため,400K程度の定常気流もしくはエンジン運転条件を模擬出来る脈動流発生装置から時間変動する脈動気流を直管・90度曲り矩形管内に流し,前年度からの継続事項である流動特性,および管内のエネルギー収支から空間平均熱伝達特性の評価を行った.また,商用ソフトを用いた壁面内の熱伝導と管内乱流場の連成シミュレーション(Conjugate Heat Transfer:CHT)を行い,実験との比較検証,メカニズムの考察を行った. 曲り管では平均ヌッセルト数が直管に対して約2~3割程大きくなったが,これは曲り部の入口からDean渦に起因する断面内流速場の二次流れに沿った温度場形成,高温領域が曲り外側の壁面に移動,および高温空気が曲り部外側の壁面に衝突することで,外側壁面での壁面熱伝達が促進されることによる.また,熱電対の応答時間に対し高周波での温度時間変動計測であることから,温度応答の一次遅れを仮定した温度時間補正に関する過去の研究論文を基に温度の時間補正を行い,CHTの計算でも概ね整合する結果が得られた. 管内気液二相流流動場では,曲り管について一様な定常・脈動気流下で薄水膜を模擬した水膜挙動の比較を行った.曲り部内側の気流速度増加に伴い,直管で液滴飛散が発生する臨界気流速度を局所的に超える領域で飛散が発生するが,更に曲り部で反射した波が曲り後の中央部で干渉し,波高が大きくなった結果飛散頻度も大きくなる傾向が見られた.気液が存在する時の熱伝達において,直管での知見とは異なる様相となる可能性を示唆している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
エンジン排気系の条件を模擬した矩形直管・曲り管内の流れ場・温度場計測およびシミュレーションから,管内定常・脈動乱流における断面内二次流れ・主流方向水平面内の流れ場と温度場・熱伝達の相関に関する基礎的知見が得られたが,複数個用いている気流温度場計測器具の一部破損に伴う交換に時間を要していることと,異なる流速(レイノルズ数)条件の実験装置の改良が必要である. また,室温における直管・曲り管内の定常・脈動気流下での液膜飛散については,主に曲り管に対して,曲り部・曲り後の気相流速分布と波高から生じる液滴飛散条件が直管と異なる様相が得られたが,多数の画像解析に基づく飛散・分裂形態毎の発生頻度統計的な考察が更に必要である.
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今後の研究の推進方策 |
管内気流の温度計測,CHTに基づく数値シミュレーションから得られる流動場・温度場に対して,特に脈動流に対する壁面からのエネルギー損失評価を得ることを目指す. CHTに基づく数値解析で用いた圧縮性流体用乱流モデル(RNG k-ε)での管内流動温度場解析結果は,脈動流でも実験計測と整合した結果を得られたが,様々な実験条件での計測との比較検証を引き続き効率的に進める必要がある.脈動流では一周期平均レイノルズ数・ストローハル数の条件が不十分であり,延長期間内で実験装置・計測器具の改訂に基づいた実験を進め,平均熱伝達係数との相関の考察・総括を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
管内流動温度場の追加計測に用いる計測装置不具合,および実験装置の追加改良の為,計測器具の交換,装置改良の為の経費が必要となったことから,経費利用期間の延長願いを提出し承認された.また,論文投稿等の研究成果発表費用も計画している.
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