研究課題/領域番号 |
18K03941
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研究機関 | 一般財団法人電力中央研究所 |
研究代表者 |
丹野 賢二 一般財団法人電力中央研究所, エネルギー技術研究所, 上席研究員 (60462884)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 固気混相流 / 粒子 / クラスタリング / 噴流 / PIV / シャドウ法 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、噴流乱流場中における非球形粒子のクラスタリング挙動を、シャドウ法とPIVを用いた計測により明らかにするとともに、クラスタリングが形成されている条件において、シュレーリン法を用いて非球形粒子である微粉炭の気相燃焼挙動を可視化し、クラスタリングが燃焼過程に及ぼす影響を明らかにすることである。当該年度はまず、対象となる混相噴流乱流場に対して、PIVによる流速測定を行い、乱流場の基礎データを取得した。続いて、標準粒子として球形のポリマー粒子を、非球形粒子として、石炭を微粉砕した微粉炭粒子を用い、噴流乱流場においてシャドウ法によるクラスタリング挙動の評価を行った。乱流場の流速測定の結果と、対象粒子の性状から乱流場中のストークス数を見積もったところ、本研究において想定するストークス数の範囲を網羅可能であることを確認した。また、シャドウ法による測定結果から、球形である標準粒子を用いた場合、粒子の存在領域に明確な偏り(クラスタリング)が生じたのに対して、非球形粒子を用いた場合には、クラスタリング挙動が弱まり、空間的に比較的均一に粒子が存在することがわかった。これは、非球形粒子の場合には、流れ場において粒子が回転することにより、主流方向に対する投影面積が時間的に逐次変化し、流体から受ける抗力が一定しないため、クラスタリングを形成するのに必要な流体からの抗力を得ることができないためであると推察された。また、球形粒子と非球形粒子のクラスタリング挙動の差異は、主流の平均流速によって変化することが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対象とする乱流場の計測結果から、本研究で対象とするストークス数の範囲において実験が可能であることが確認したとともに、噴流乱流場における球形粒子および非球形粒子の分散挙動の違いをシャドウ法によって定量的に示すことができた。一部の実験条件での計測については、令和元年度に持ちこすこととなったものの、研究の進捗に大きな影響はない。また、実験装置の改造についても、令和元年度に持ち越すこととなったが、現時点での研究の進捗に大きな影響を及ぼすものではない。
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度は、微粉炭粒子の粒子径や、入口の乱流条件を変更することにより、ストークス数が非球形粒子のクラスタリング挙動に及ぼす影響をより詳細に明らかにする。具体的にはまず、バーナー上流部に乱流格子を設置し、噴流乱流場の入口乱流条件を変更可能にするとともに、PIVを用いて対象となる乱流場の統計量を計測する。また、微粉炭粒子のふるい分けを行い、粒子径分布を調製し、より幅広いストークス数の条件において実験が可能なようにした上で、平成30年度と同様に、シャドウ法とPIVによる計測を行い、非球形粒子のクラスタリングに対する、ストークス数の影響を詳細に明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画では、平成30年度に実験装置の改造を実施する予定であったが、詳細設計に時間を想定以上の時間を要したため、実験装置の改造を令和元年度に実施することとなったため。改造に関する仕様はほぼ既に固まっており、令和元度に順調に実施できる見込みである。
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