研究実績の概要 |
Mj = 2.0,Rer = 2000の超音速円形ジェットの線形安定性解析および得られたK-H不安定波の単一および同一周方向波数の正負のペア(±m)を初期撹乱としたDNSを実行し,線形不安定波の特性ならびに不安定波の非線形発達によるジェットの遷移構造および音響場における影響を調べ以下のことを確認した.・最大成長率を示すジェット主流方向波数付近において,不安定波は周方向波数の増加とともに位相速度が減少しm = 0, 1のモードは超音速の高い位相速度を持ち,その固有関数分布はジェット遠方まで広がり,m = 2, 3, 4などの音速以下のモードの固有関数はジェット近傍のみに分布する.・単一の不安定波の増幅により超音速の位相速度と広い固有関数分布を持つm = 0, 1の増幅は明確なマッハ波を形成し放射さる.特に,m = 0の最大圧力変動レベルはm = 1より小さいが遠方まで高い振幅を維持し放射される.一方,低い位相速度のm = 2, 3では強い圧力変動の放射は観察されない.・ヘリカルモードペアm = ±1, ±2, ±3の増幅は周方向にそれぞれ2方向,4方向,6方向の放射状にジェット速度場を拡散させる.このとき,ジェットせん断層の領域にΛ状構造が形成され,このΛ状構造の閉じた領域下流に正の半径方向速度が生じジェットの放射状の拡散を促進している.・上記拡散促進において,同時刻から拡散するケースを比較すると,音速付近の位相速度を持つヘリカルモードペアのm = ±2, ±3のケースは,超音速の位相速度を持ちマッハ波を放射するm = ±1と比べ拡散に伴う圧力変動レベルの大きさは10 dB程度低く拡散に伴い強い音波を放射しない.これらのことから,比較的低い位相速度を持つm = 2, 3などのモードを組み合わせジェットに加えることによりジェットの拡散を促進し,マッハ波を低減できる可能性がある.
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