近年 1μm 未満の大きさのウルトラファインバブルのもつ洗浄、殺菌、化学触媒効果などの様々な 機能性が注目され幅広い産業界で 注目され活用が広まりつつある。その一方、泡の大きさが可視光の回折限界より小さいために、従来の泡研究の中心的手法である光学的観測が極めて困難である。そのためウルトラファインバブルそのものの基礎的特性や機能発現機構に関する研究は進んでいない。 本研究は、従来の直接泡を見る手法ではなく、不安定核を探索子として、その不安定核から放出されるガンマ線を指標とした摂動角相関法によるウルトラファインバブルの基礎特性や機能発現機構に関する研究を行なった。この研究手法の優れた点として、物質の透過性に優れた中性子をウルトラファインバブルに照射することで、ウルトラファインバブルの状態を変えることなくウルトラファインバブルの中に核反応で探索子となる不安定核を生成できる点が挙げられる。また不安定核からのガンマ線を観測することで、まさに探索子1つ1つを検出できることから、ウルトラファインバブルの周囲にごくわずかな不安定核を配置するだけで研究ができることから、ウルトラファインバブルの界面そのままの相互作用を観測することが可能となる。 今回の研究では、キセノンガスで生成したウルトラファインバブルの内部に中性子照射で生成したXe-125の摂動角相関測定により、ウルトラファインバブルの内部圧力が従来の泡でよく成立しているヤングラプラスの式の予想の数分の1であることを明らかにした。また、酸素のウルトラファインバブル水中のIn-111の摂動角相関から、ウルトラファインバブルがIn-111の構成する水和イオンの構造に影響を与えていることを示唆するデータを得た。
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