研究課題/領域番号 |
18K03961
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研究機関 | 佐世保工業高等専門学校 |
研究代表者 |
城野 祐生 佐世保工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (80353233)
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研究分担者 |
長田 秀夫 佐世保工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (70221463)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 流動層 / 数値シミュレーション / マイクロリアクター |
研究実績の概要 |
令和2年度は、『数値シミュレーションによる流動状態の解析』、『マイクロ装置を用いた反応率の測定評価』に取り組んだ。 『数値シミュレーションによる流動状態の解析』では、数値流体力学の前後処理用ツールボックス「OpenFOAM(ver. 7および 8)」に含まれる散要素法モデルを用いて流動層モデルを作成した。実験と同様の条件における流速分布、圧力損失変化、空間充填率分布から算出される層高変化を算出した。計算された粒子の挙動と空隙率分布から、均一に流動する様子が見られたため、固・液混相流が再現されたといえる。流速および時間に対する平均粒子高変化から、低流速では層がわずかに膨張し、最小流動化速度と終末沈降速度の間では層が流速に比例した高さで懸濁浮遊し、終末沈降速度を超えた流速では粒子が輸送される様子が見られた。この層高変化は、流動実験と同じく、通常知られる流動層の挙動と一致している。計算された流路内の分布から、粒子層内から流路の上方にかけて乱雑な流れから層流への遷移が見られた。粒子層の界面では層流に近い流速分布が見られたことから、内径3mmの流路内では充填層内の水の流れが部分的に層流化すると考えられる。従って、同スケールの流路を用いた流動実験で観察された粒子層界面の分散は粒子層内の流れの層流化が寄与していたと推測される。 『マイクロ装置を用いた反応率の測定評価』では、接触燃焼反応の例としてアルミナ担持白金触媒によるトルエン燃焼反応を用いて、反応率の温度依存性がロジスティック関数で表現できるかについて検討した。その結果、温度の関数として線形関係を用いるとロジスティック関数が実験データをよく表すことがわかった。さらに、燃焼触媒の評価に用いられる反応率が 50%になる温度が客観的に決定できることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
科研費申請書における令和2年度の年次計画では『数値シミュレーションによる流動状態の解析』、『マイクロ装置を用いた反応率の測定評価』に取り組むことを計画した。 『数値シミュレーションによる流動状態の解析』では、前年度に導入した数値解析用ワークステーションを用いて解析を進めた。また、前年度までの『マイクロ流動層の流動状態・流動特性の計測』で導入済のPIVシステムを利用して計測した実験データと比較検討を行った。数値シミュレーションではOpen Foamを利用した流動層解析方法を構築し、実験との比較検討した結果をまとめて2件の学会発表を行った。 『マイクロ装置を用いた反応率の測定評価』は研究分担者である長田と協力して反応率測定用実験系の構築を進めた。また、ロジスティック関数を用いた新たな評価手法を導入し、実験結果の評価検討を行った。こちらの内容について1件の学会発表を行った。 本研究予算に関する研究で本年度3件の学会発表を行い、ある程度当初計画どおりに進めることができた。しかし、コロナウイルスの影響により、研究推進できない時期があり、計画していた数値シミュレーションの評価が一部行えていないため、1年間延長することとした。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は『流動層数値シミュレーションによる流動特性の評価』に取り組む。令和2年度はコロナウイルスの影響等により研究を進めることができない期間があり、予定通りに進まなかったところがあったため、令和3年度に継続して研究を行う。Open Foamを利用した数値シミュレーションにより粒子・流体の流動特性の解析を行い、数値的に現象の解明を進める。また、実験結果と数値シミュレーション結果の評価方法についても新たな手法構築も含めて検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度はコロナウイルスの影響等により研究を進めることができない期間があり、予定通りに進まなかったところがあったため、令和3年度に継続して研究を行う。
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