研究実績の概要 |
ナノフルードとは,熱伝導率の小さい分散媒に分散質として分散媒よりも熱伝導率の大きいナノサイズの粒子を分散させた分散系である.このナノフルードは次世代の革新的な熱輸送媒体であると注目されているが,熱伝達性能向上を示す報告とともに逆の性能を示す報告もある.申請者らによる先の数値解析研究は,この矛盾の一因がナノフルードの熱物性評価と熱伝達率評価の方法にあることを見出した.そこで申請者は,ナノフルードの熱物性測定から実験相関式を,それを用いた層流強制対流熱伝達実験から実験式を導出し,ナノフルードの熱伝達特性を実験的に,さらに数値解析的に解明することを目的としている. 平成30年度は,「等温冷却または等熱流束加熱された円管内層流強制対流におけるA1203-水ナノフルードの数値解析」,「竪型円筒容器内のA1203-水ナノフルードの自然対流数値解析と実験研究」,そして「ナノフルードを用いたBenard対流熱伝達の実験研究」から,以下の知見を得た.まず第一に,異なる参照温度において体積分率が同じとき,粒子径が小さいほどA1203-水ナノフルードと水の平均Nu数比は小さくなる.第二に,粒子径と体積分率が同じとき,参照温度が高いほどA1203-水ナノフルードと水の平均Nu数比は小さくなる.第三に,異なる参照温度において,体積分率が同じとき,粒子径が小さいほどA1203-水ナノフルードと水の平均熱伝達率比は大きくなる.第四に,粒子径と体積分率が同じとき参照温度が高いほどA1203-水ナノフルードと水の平均熱伝達率比は大きくなることなどを数値解析と実験の両面から見出した.
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