研究課題/領域番号 |
18K03968
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
古畑 朋彦 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (80261585)
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研究分担者 |
座間 淑夫 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (30594113)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 尿素分解反応 / 尿素分解生成物 / 尿素SCR / NOx還元 / 燃焼排ガス後処理 |
研究実績の概要 |
燃焼排ガス中のNOxを除去するシステムとして尿素SCR法が実用化されている.このシステムでは尿素が高温の燃焼排ガス中で分解することにより生成するアンモニアをNOxの触媒上での還元に利用しているが,その分解過程で生成する固体の中間生成物が触媒上に堆積する可能性があり,特に始動時など排ガス温度が低い条件では問題になると考えられる.そこで本研究では,尿素および尿素の分解生成物の分解挙動について,排ガス中の水蒸気および触媒として利用されるゼオライトの影響も含めて,特に分解速度に着目して実験的に検討することを目的としている.平成30年度は,計画では尿素および尿素分解生成物としてビウレット,シアヌル酸,メラミン,アンメリド,およびアンメリンの高温雰囲気中での分解速度を測定することとしており,はじめに尿素の分解速度の温度依存性を計測し,その結果を基にアレニウスプロットを作成した.引き続き各種の尿素分解生成物についても同様に計測を行う予定であったが,次年度以降の研究計画が遂行できるかを確認するために,水蒸気雰囲気中での尿素の分解速度,および水蒸気雰囲気中でゼオライトが共存した場合の尿素の分解速度の測定も試みた.水蒸気供給装置には以前に試作したものを利用した.その結果,尿素の水蒸気雰囲気中での分解速度は,水蒸気を含まない雰囲気中の分解速度よりわずかながら大きくなるが,活性化エネルギーは変化しないこと,また水蒸気雰囲気中でゼオライトが共存した場合の尿素の分解速度は大幅に増加し,分解反応の活性化エネルギーも低下することを明らかにした.またこれらの計測を通して,次年度以降に計画している実験も問題なく遂行できることが確認された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は,計画では尿素および尿素分解生成物としてビウレット,シアヌル酸,メラミン,アンメリド,およびアンメリンの高温雰囲気中での分解速度を測定することとしており,それに従いはじめに尿素の分解速度測定を実施したが,次年度以降の研究計画が遂行できるかを確認するために,水蒸気雰囲気中での尿素の分解速度,および水蒸気雰囲気中でゼオライトが共存した場合の尿素の分解速度の測定も試みた.その結果,問題なく実験を実施できることが確認でき,実験方法を確立することができたことから「おおむね順調に進展している」と判断した.平成31年度以降は同様の実験手法により尿素分解生成物としてのビウレット,シアヌル酸,メラミン,アンメリド,およびアンメリンの分解速度を測定することができると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度の実績から実験装置および実験方法はほぼ確立されたと考えられることから,平成31年度以降は,平成30年度と同様の実験手法により,主に尿素分解生成物としてのビウレット,シアヌル酸,メラミン,アンメリド,およびアンメリンの高温雰囲気中での分解速度,および水蒸気雰囲気中での分解速度を測定する.次いでゼオライトの影響についても調査していく.以上の結果を基に尿素の分解生成物の分解速度に対する水蒸気濃度の影響,ならびにゼオライトの効果について検討を進める.水蒸気供給装置については,以前試作したもので大きな問題はなかったため,同様なものを改めて製作し利用する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
過去の研究で使用した試薬が残っており,新規に購入せずそれらを利用することができたため,および水蒸気供給装置は以前に試作していたものがほぼそのまま利用できたことから,修理に必要な部材を購入する必要がなかったためである.次年度は新規試薬の購入,および水蒸気発生装置の製作と関連装置(ヒータおよび制御装置,湿度計等)の購入に利用する予定である.
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