申請者らは,繰り返し短パルスに期待する効果として,①パルスの長さで電子に与えるエネルギーの量を変えられる,②パルスを打つタイミングおよびパルス間隔を変えることで,生成されるラジカルの作用を変えられる,③電源回路から出力されるパルス電圧の時間変化(dV/dt)を制御することでプラズマ形態を変え,分子に与えるエネルギー量と形態を変えられる,という3点を仮定し研究を行ってきた.この結果,昨年度までの成果で①は実験で証明できた.②も実験で現象を把握した.その際,興味深い事実として,プラズマを発生させた直後ではなく,着火・燃焼が始まってしばらくして,低温プラズマの効果により燃焼速度が増大し,熱効率が向上するという現象が現れた.この現象はサイクル毎のばらつきが減ることで,平均値が上昇するためであることが,新たに判明した.③に関し,dv/dtを大きく振ることが出来る装置を借用し実験を行った.この結果,従来の電源に対し,特に電圧の立ち上がり勾配がプラズマ生成に大きな影響を与えることが明らかとなった.
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