高温固体の沸騰冷却(クエンチ)は、日本刀の焼き入れや鉄鋼材料の熱処理で見られる身近かつ重要な熱流動現象である。特に、原子力発電所で冷却材喪失事故が生じた場合、高温となった炉心に冷却水を注入して、燃料棒を再び濡らす(リウェット)させる必要がある。このため、クエンチあるいはリウェット時に、液体によって濡らされた領域が進展する速度(クエンチ速度)を予測することは、日本刀や鉄鋼材料の品質及び原子力発電所の安全性に関係する重要な技術である。本研究では、クエンチ速度予測の根幹となる熱伝達率分布データを世界で初めて計測することに成功し、熱伝達率分布データに基づく熱伝達率分布相関式を世界で初めて開発した。
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