本課題研究は,蒸気洗浄による積層鋼板の絶縁油除去を発端として,10μmスケールの平板間隙に閉じ込められた液体が減圧下で示す複雑流れを対象として,可視化実験によるデータ解析と流体物性に基づく物理化学的モデリングを行うものである. 最終年(3年目)となる2020年度は,以下の研究を行うとともに研究成果をとりまとめた: (1) ガラス板と高速度カメラによる可視化実験を継続した.本補助金により導入したサンドブラスト装置によりさまざまな表面粗さやパターンをもつガラス板表面を作成し,減圧下での板間隙からの蒸発過程の速度や流路形状の時間変化を解析した.成果を国際会議等で発表するとともに学術論文にとりまとめた. (2)毛管力により間隙内に流体が入り込むimbibition現象の実験と流動パターンのフラクタル性に関するデータ解析を行った. (3)蛍光微粒子を用いたPIV手法による間隙内流動の可視化実験により,蒸発を伴う流れを局所的に解析した.
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