研究課題
ピニングを有する接触線を扱う上で理論的な前提となる平滑な固体壁面上の平衡状態の濡れについて、分子動力学(MD)解析により取り扱った。接触線にはたらくピニング力を正確に見積もり、接触角の変化を含むYoungの式と接続するためには、固液、固気、気液の3つの界面張力を正確に算出する必要があるが、特に、固液、固気界面張力を求める方法がこれまでは確立されていなかった。これに対して、本研究では前年度までに、これが固体表面近傍における表面接線方向、法線方向の応力の積分という力学的な意味づけと対応し、また、これとは異なるものとして付着仕事という熱力学的な値とも対応することを示し、これらをMD解析から抽出する方法を明らかにした。ただし、これらの方法は、計算負荷が高い、妥当性が明らかでないなどの問題があった。これらの結果を受けて、実在系に近い水-シリカの系での界面張力を算出、様々な固体と液体、または気体の組み合わせに対して簡便に算出する界面張力の算出法の開発、および、カーボンナノチューブなどナノスケールの曲率を有する固体表面上での界面張力の算出などを行った。またこれらの拡張として、動的な系における接触線の解析や、ナノバブルの解析も合わせて行った。これらにより得られた成果を国内の複数の学会において発表したほか、本分野で定評ある査読付き国際学会誌であるJournal of Chemical Physicsにおいて3編の発表、Nanoscale、Physical Review Researchにおいて各1編の発表としてまとめた。
すべて 2022 2021 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 2件) 図書 (1件)
Carbon
巻: 189 ページ: 162~172
10.1016/j.carbon.2021.12.048
Nanoscale
巻: 14 ページ: 2446~2455
10.1039/D1NR07428H
The Journal of Chemical Physics
巻: 156 ページ: 054701~054701
10.1063/5.0079816
Physical Review Research
巻: 3 ページ: L032019_1~6
10.1103/PhysRevResearch.3.L032019
巻: 155 ページ: 064703_1~16
10.1063/5.0056718
巻: 155 ページ: 184103_1~12
10.1063/5.0062889