研究実績の概要 |
パリ協定に関係して、モントリオール議定書の改定となるキガリ改定により、 HFC代替フロン物質の探索を続けてきたが、単一成分での新冷媒は、新たな化学物質の開発に等しいために容易ではない。そのため、既存の物質の中では、地球温暖化に影響の少ないと考えられている炭素の2重結合を有するオレフィン系冷媒(HFO冷媒)が注目され、さらにHFO系冷媒を成分物質に含んだ混合冷媒が将来的に期待されている。研究代表者は、まずHFO系冷媒の単一成分の研究から取り組み、引き続いて2成分系混合冷媒の組み合わせを想定して進めてきた。しかし、性能や燃焼性までを考慮すると、2成分系では十分ではなく、3成分系混合冷媒まで拡張せざるを得なくなっているのが実情である。 本研究の1年目の研究動向調査に加えて、3年間にわたって、ほとんど実測データのなかった3成分系混合冷媒の臨界点の実測をR32+R1234yf+CO2, R32+R1234yf+R290, R32+R1234yf+R1123の3混合系について行い、世界で初めてその情報を明らかにした。そして、様々な3成分系混合冷媒の臨界点予測を可能にするためには、3種類の2成分系混合冷媒(例えば、A+B+CであればA+B、B+C、C+A)の正確な情報の存在が重要であることを見つけ出した。そのため、3年目には今まで欠落していた2成分系混合冷媒R1123+R1234yfおよびR290+R1234yf系の測定を行うとともに、3成分系混合冷媒の臨界点の計算の精度を上げるべく混合則の開発を行った。現時点で、最終的な解は得られていないが、その取り組みでは徐々に成果が得られつつあり、混合則の検討を継続し、実験データの追加測定を行いながら、3成分系混合冷媒の臨界定数を、測定結果なしに高精度で予測する経験的手法を見つけ出す予定である。
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