都市ガスやカセットボンベ等の実燃料供給時の起動性や熱自立性能を向上させる燃料・熱自立型固体酸化物形燃料電池(SOFC)システムの基盤的研究を企図した.3x3の流路を有する燃料極支持形ハニカムSOFCを管状電気炉において,800-900℃に加熱し,マスフローコントローラーにより種々の燃料極,空気極ガス供給条件を設定して,電子負荷器により所定の電流を取り出した.また,内部に複数の熱電対を挿入し,温度分布を計測した.ハニカム多孔質燃料極支持体は,熱ゲル成形法によるハニカム多孔質燃料極支持体の一体成形実績のあるメーカーに依頼して製作し,電解質、空気極をその支持体上に当研究室において塗布,焼成し作製した.Rh/Al2O3触媒微粒子を保持した接触部分酸化(CPOX)改質マイクロリフォーマーを燃料極流路内に設置した.また,多孔質ハニカム燃料電池を保持するための治具,ガスシールおよび集電系の製作を行った.マイクロリフォーマーを内蔵した燃料極支持体流路配置を変え,実測による発電特性と有限要素モデルの電流分布を比較し,モデルの精度を向上させた.また,流路配置による,3次元的改質燃料拡散挙動がハニカムSOFC内の3次元燃料分圧および電流分布を決定することが示され,重要な設計因子が明確になった.いくつかの燃料流路出口を閉塞することで,多孔質燃料極支持体内に強制対流を印加して,燃料のセル内三次元輸送を促進できるハニカムSOFCを提案し,低燃料供給量においても大幅な体積出力密度向上と電流分布,温度分布緩和を図るような,三次元電流・温度分布を評価した.また,実用上有望な高体積出力密度発電の可能性が示された.
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