研究課題/領域番号 |
18K03986
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
森上 修 九州大学, 工学研究院, 教授 (70363124)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 燃焼 / 噴霧 |
研究実績の概要 |
燃料噴霧の自着火の基礎研究において,これまで実験では直径1mm程度の粗大燃料液滴が対象とされ,また,液滴間の干渉効果に関する研究では直径の揃った液滴群が扱われてきた.しかしながら,実際の噴霧を構成する液滴は直径数10ミクロンオーダーと小さく,また,その大きさにはばらつきがある.粗大液滴の知見を微小液滴に応用する際には輸送の特性時間のオーダーが異なるため注意を要する.また,液滴径に分散がある場合の液滴群の自着火が支配因子について未解明である.以上より,本研究の目的は以下である.①実用レベルの微小液滴を対象とし,その蒸発・自着火特性を系統的に調査する.②直径の異なる複数液滴の自着火を支配する因子を明らかにする.①については,前年度制作したピエゾ式インジェクタによる微小液滴生成装置を用い,高温雰囲気中の微小液滴の蒸発特性を調査した.②については,直径の異なる複数粗大液滴の高温空気中の自着火の実験の微小重力実験を行った.これにより,直径の小さい方の単一液滴の場合よりも,複数液滴の方が系全体の自着火が促進される条件が存在することが確認された.これは,これまで解析的にはその可能性が示唆されていたが,実験的に確認されたのは初めてである.また,直径の異なる二液滴を対象とする数値計算コードを用い,低温酸化反応が活発である領域の遷移が液滴径,液滴間隔,雰囲気条件の諸条件により異なること,また概して小さい液滴の存在が系全体の現象に対して支配的であるが,点火限界近傍では異なることが確認された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では2018年度と2019年度に微小重力実験を行う予定であったが,2018年度は数値計算コードの開発と通常重力場実験に注力し,微小重力実験は2019年度と2020年度に行うことに変更したため.
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今後の研究の推進方策 |
微小液滴の実験装置を用い,雰囲気温度を変じて自着火実験の幅広いデータ収集を行う.2019年度に引き続いて微小重力実験を遂行する.また,2019年度の微小重力実験で確認された,直径の小さい方の単一液滴の場合よりも複数液滴の方が系全体の自着火が促進され得ることを,数値計算を用いて再現し機構解明する.以上より,研究総括を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では2018年度と2019年度に微小重力実験を行う予定だったが,2018年度は数値計算コードの開発と通常重力場実験に注力し,微小重力実験は2019年度と2020年度に行うことに変更したため次年度使用額が生じている.
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