研究課題/領域番号 |
18K03988
|
研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
金田 昌之 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50346855)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 自然対流 / 磁気力 / 永久磁石 / 常磁性流体 / 磁場分布 / 対流制御 |
研究実績の概要 |
対流伝熱の促進や制御についての知見を得るために,常磁性流体への磁気力の効果について研究を進めている.これまでは強力な超電導電磁石を用いた研究が報告されているが,本研究ではコストの小さい永久磁石を複数用いた対流制御手法に関する知見を得ることを目的とした.2019年度も引き続き実験並びに数値解析的研究を実施した. まず,前年度に引き続いて鉛直加熱平板まわりの自然対流への影響を精査し,最適な磁場分布に関する知見を得た.実験と数値解析の結果より,複数個の磁石を温度境界層発達開始領域に設置することで,速度境界層ならびに温度境界層の局所的な変化をもたらすことで対流を促進できる知見を得た.また,対流を非定常化する効果も確認され,これを生かせば加熱面に沿って脈動流が継続的に生じることから,大きな対流促進効果が得られることを見出した. また鉛直平板の研究の過程で,誘起される磁気力の方向が磁石に対して鉛直方向に作用することを見出した.そこでこれを自然対流場での支配的な力である重力加速度と同じ向きに作用させることで対流の効果的な制御ができるのではとの着想を得た.レイリー・ベナール対流において数値解析を実施したところ,ロールセル構造の形状変化や局所熱伝達率の促進ならびに抑制効果をもたらすことがわかった.具体的には磁石近傍の熱伝達率は上昇する一方で,少し離れた個所の熱伝達率は下がることがわかった.これは,磁気力により流れ場が変化したことに由来する.また,この効果は磁場強度に必ずしも比例しないことも明らかにした.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
実験,数値解析共に順調に進んだことが大きいが,なにより論文として成果を公開できたことが大きい.
|
今後の研究の推進方策 |
2020年度は最終年度に当たる.これまでの知見を活かすと,よどんでいる流体に印加することで対流誘起ができれば,たとえば熱交換器などで局所熱伝達率の小さくなる領域に適用することが可能となる.そのための基礎的な知見として,温度成層状態への効果を検証する.
|
次年度使用額が生じた理由 |
解析ソフトを変更してコストダウンを図ったため COVID-19の影響により学会参加を断念したり,実験装置の作成ができず,2019年末あたりから研究が滞ったため.物品購入も進められなかった.
|