固体粒子の燃焼促進には粒子径の微細化が推奨されているが,伝熱工学的には伝熱表面積の増大,ひいては熱損失の増大を意味しており,着火や燃焼維持の妨げになりうる.しかも,初年度に実施した最新の研究動向調査において,この種の研究が未着手であることが確認されている. 燃焼状態への移行条件については,研究開始以前に,粒径や燃焼率の限界値が公表されていたが,燃焼速度定数についても限界値が存在することを学術誌J. Energyにて発表を行った.また,二年目の成果として,燃焼活性化条件を満足していても燃焼の進行にともなう粒径の減少で消炎条件に到達すること,しかも漸近解析法にて活性化・消炎の限界曲線が導出できることが見出されていたので,これらをまとめて国際学会(2021年1/25~29;リモート)で論文発表を行った.さらには,酸化剤中に酸素と二酸化炭素と水蒸気が共存する場合についても限界曲線が解析的に見出されたので,第58回燃焼シンポジウム(2020年12/2~4;リモート)にて発表を行った. 実験においては,平面状火炎にて高温酸化雰囲気を作り出す方式を採用しているが,平面状火炎の形成には多孔質材料の選定が,雰囲気流には準一次元的気流が不可欠なことが初年度で明確となったため,これらの改良を次の年度において実施し,状況がかなり改善された.そして,二年目以降は,雰囲気温度や酸素濃度(質量分率)を広範囲に変えつつ,ふるい分けされた粒子(10~300μmの10種類)を投入し,粒子の色温度を観察しつつ燃焼状況の確認を行った.その結果,解析が提示する整理方法を用いれば,粒径や酸素質量分率がそれぞれの限界値以上の場合にのみ粒子燃焼が観察されることを確認した.また,酸素と二酸化炭素が共存する場合についても実験を実施しており,同様に,粒径が限界値以上の場合にのみ燃焼が観察されることを確認してきた.
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