本研究では,申請者がこれまでに取り組んできた定常問題における形状最適化を非定常問題へ展開する.実際には,熱弾性場,あるいは熱対流場などの連成場問題に対して,時間発展型のマルチフィジックス問題における合理的な形状最適化の解法を提案し,その妥当性を検証することを目的とする.2022年度の主な研究実績は次の通りである.
1.非定常強制対流場の部分領域において温度分布時間履歴を制御する形状決定問題に対して,流入口における拍動流を考慮した数値解析に対して検討を行った.具体的には,解析から得られる最適形状に対して,その拍動流の周期が与える影響等について検討し,これらの研究成果を口頭発表した.
2.上記の熱対流場の連成場問題に加えて,マルチフィジックス問題の一つである流体構造連成場の形状最適化に関する研究に対して新たに着手し,基本的な問題に対する解法について検討を試みた.具体的には,非定常流体構造連成場の流体領域において散逸エネルギーを最小化する形状設計問題,あるいは,流体領域の部分領域において流速分布時間履歴を制御する形状決定問題について検討した.それらの形状決定問題の定式化を行い,形状更新の感度を理論的に導出して,その感度を利用した形状最適化解析法を提案した.数値解析例を通じてその解法の妥当性を示し,得られた研究成果を口頭発表した.
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