(1)ロープ変位を抑制するための変位拘束部材が①ロープ両端を除いて均等に配置された場合や②ロープ両端から対称に2個配置された場合を対象として、強制振動(ロープの一端または両端を正弦波加振)時の周波数応答特性(共振振動数、振動モード)を差分法による数値解析により求めた。なお、変位拘束部材がある場合の幾何学的に非線形な自由振動についての理論解は、変位拘束部材に作用する荷重がロープに外力として作用する線形の強制振動の問題に置き換えて求めた。 得られた自由振動についての理論解(固有振動数、振動モード)と差分法による数値解析により求めた周波数応答特性とを比較し、共振振動数が固有振動数と良く一致すること、共振点での振動モードは自由振動についての理論解から得られた振動モードと類似していることを示した。また、共振点は変位拘束部材がない場合の固有振動数の1倍から2倍の間に1個または複数個存在することを確認した。すなわち、建物の固有振動数とロープの固有振動数とが一致して共振する場合でも、変位拘束部材を適切に配置することで、ロープの固有振動数を増加させて共振を回避できることを示した。 (2)変位拘束部材がある場合、ない場合についてロープの自由振動実験を行い、差分法による数値解析結果と比較した。その結果、変位拘束部材を設置することで減衰が増加すること、ロープは曲げ剛性を0とした弦モデルよりも、曲げ剛性、粘性減衰、構造減衰を考慮したモデルの方が現実に近いことを確認した。また、これらのパラメータを同定する方法を示した。
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