研究課題
打音検査はコンクリート構造物の欠陥検査に広く用いられているが,効率的に打撃が可能で,検査員の主観に依らない欠陥検出が可能な打音検査技術が求められている.2018年度は,回転式打音実験装置を開発し,欠陥部での打撃音を顕在化する打撃法について検討した.回転式打撃法において,欠陥部での打撃音を顕在化する打撃条件(押付力と移動速度)を明らかにした.さらに,試験体の有限要素振動解析を行い,実験で得られた打撃音の周波数スペクトルのピーク周波数と励起される振動モード形状の関係を明らかにした.2019年度は,機械学習法として自己組織化マップを用いて,打音データから自動的に欠陥部を検出する方法について検討した.自己組織化マップの入力データとして各打撃位置での打撃音周波数スペクトルを用いて打音データをグループ分けし,グループごとに周波数スペクトルのオーバーオール値(欠陥判別指標)を求め,平均値が最も小さいグループを健全部として除外することで欠陥部を同定する方法を提案した.2020年度は,欠陥部の打撃音をより顕在化するために回転式打撃装置の回転打撃部を改良し,押付力を付加するばねのばね定数と押付力の適正値を調べ,明らかにした.さらに,2019年度で提案した機械学習法とモデル同定法を組み合わせて,欠陥部の打音データから欠陥形状を推定する方法について検討した.本研究で用いた回転式打撃法は,打音検査を効率化し,かつ打撃力のばらつきを低減できる.研究成果では,回転打撃部の押付ばねのばね定数と押付力を適正に設定することで欠陥部での打撃音を顕在化できることを明らかにした.また,機械学習を用いて各打撃位置での打音データをグループ分けし,その後,欠陥判別指標を用いて健全部に相当するグループを取り除くことで欠陥部を自動的に検出することが可能となった.これらは,コンクリート構造物の打音検査の高度化に大きく寄与する.
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Vibration Engineering for a Sustainable Future
巻: Vol.2 Chapter 28 ページ: 211-217
10.1007/978-3-030-48153-7_28
Proceedings of the 15th International Conference on Motion and Vibration Control (MoViC2020)
巻: - ページ: Paper No.10054