研究課題/領域番号 |
18K04019
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
河村 庄造 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00204777)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 振動工学 / 健全性評価 / 不規則応答 / 外力同定 |
研究実績の概要 |
研究目的は二つあり,(a) 異常の発生場所の特定,(b) 不規則外力の統計的同定による健全性評価である. (a) 異常の発生場所の特定については,初めに階層構造物の二次元モデルに対してシミュレーションによる検討を行った.このとき床によって壁の回転自由度が拘束され,壁の変形が各層に局所化させることが重要な点である.そして実際の健全性評価においては,風などによる常時微振動を常時監視するので,乱数を不規則外力と見なして構造物に作用させ,ひずみの時間変化を数値シミュレーションによって求めた.正常時にはほぼ零であった特徴点のひずみが異常発生時に有意な値になり,異常発生以外の階層の特徴点ではひずみがほぼ零のままで変化がないことが確認できた.一方で,従来よく用いられている加速度計によるデータは,どの階層に異常が発生してもすべての測定点の加速度が変化し,発生場所の特定はできないことがわかった.次に三層程度の構造物を製作し,実験的に検証した.実験装置の制約から,基礎面を水平方向に加振して,提案手法の適用性を調べた.また異常は層間の柱の剛性を変化させて実現した.実験においても,提案手法で異常の発生場所が特定できることがわかった. (b) 不規則外力の統計的同定による健全性評価については,始めに不規則外力の統計的同定手法の構築を行った.あらかじめ対象物の数学モデルを構築しておき,不規則応答のパワースペクトルと対象物の周波数応答関数から外力のパワースペクトルを同定する手法を構築し,数値シミュレーションによって妥当性を確認した.特に多自由度系の場合,位相情報の扱いに注意が必要であることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
研究目的 (a) 異常の発生場所の特定については,研究成果を学術論文にまとめて公開したので,(b) 不規則外力の統計的同定による健全性評価に注力する. 現在,多自由度系において,外力の相関がある場合の同定手法を構築している.もともと応答の相関は考慮しているが,外力に相関がなければ,未知数の方が少ないので逆解析は安定しているが,外力の相関を考えると,未知数が多くなり,逆問題が不安定になる可能性がある.そのような不適切性の低減手法の提案が必要である.また実験装置を製作予定であり,各層に加振装置を配置する計画である.従来は基礎部分を水平加振することによって地震を模擬していたが,新規実験装置は風などによる建物の加振を模擬できる.また各層に加振装置を配置すると評価者が意識的に加振することも可能であるため,本来の研究目的だけでなく,積極的な加振による健全性評価手法の確立も行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
若干の端数が出ただけであり,研究計画に支障はない.
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