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2020 年度 実施状況報告書

ヒト生体での耳小骨振動実測値に基づく骨導聴覚伝達経路の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K04021
研究機関鳥取大学

研究代表者

有井 士郎  鳥取大学, 工学研究科, 准教授 (80222751)

研究分担者 片岡 英幸  鳥取大学, 医学部, 教授 (00224436)
長谷川 賢作  日本医科大学, 医学部, 教授 (60252847)
矢間 敬章  鳥取大学, 医学部, 助教 (30444631)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード機械力学・制御 / 生物・生体工学 / シミュレーション工学 / 骨伝導 / 耳小骨振動
研究実績の概要

本研究の主な目的は以下の3項目である. (1) 気導音に対する耳小骨振動の解析結果を基に,骨導音に対するヒト生体での耳小骨,耳小骨周辺の側頭骨さらに 蝸牛骨包の振動計測を実施し,骨導刺激による頭骨や軟組織の振動がどのように内耳を刺激しているのかを明らかにする. (2) 気導加振の解析で用いた耳小骨振動モデルを骨導加振に対応できるように拡張してシミュレーションを行い,振動計測では得られない骨導刺激の蝸牛への伝達力を明らかにする. (3) 生体での計測結果とあわせて骨導刺激の伝達経路を明らかにする.
本年度は,昨年度に計画した術中での実験を4,5月,さらに翌年3月に各1件実施した.実験にあたっては,円滑な実施のため執刀医である鳥取大学医学部矢間敬章助教を研究分担者に追加した. この実験により,骨導刺激による耳小骨,蝸牛呷角,外耳道後壁の振動が計測でき,骨導刺激により内耳を刺激する伝音経路の存在が明らかとなった.術中での計測であるので,本来の治療に影響のない範囲で,ごく短時間で計測する必要がある.このため,全ての計測予定部位で正確な計測結果が得られるとは限らない.従って信頼ある結果を得るには,被験者数を増やし計測件数を増やすことが必須である.しかしながら,COVID-19 感染拡大に対する対策として,昨年度5月の実験実施以降,約1年間実験計画の策定を中断せざるを得ない状況となった.また,骨導加振器製作企業との面談も禁止となり,加振器性能の試験も約1年間中断した. このため,本科研の補助期間を1年延長し,次年度も継続して実験を実施することとした.
今後は,上記(2)で既に得られたシミュレーション結果を,上記(1)の実測結果と比較検討し,上記(1)の実験を重ね,より有効な骨導補聴器開発への指針を得られるよう骨導刺激の伝達経路を明らかにする予定である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の主な目的は,(1)骨導音に対するヒト生体での耳小骨,耳小骨周辺の側頭骨さらに蝸牛骨包の振動計測,(2)耳小骨振動モデルを用いたシミュレーショ ンによる骨導刺激の蝸牛への伝達力推定,(3)骨導刺激の蝸牛への伝達経路解析,である.この中で,(2)は現時点で十分な成果が得られており,昨年度成果を公表した.(1)は今年度3件の術中での実験を実施し,骨導刺激により内耳を刺激する伝音経路の存在が明らかとなった.
COVID-19 感染拡大のため,約1年間実験計画の策定を中断せざるを得ない状況となったが,本科研の補助期間を1年延長し,次年度も継続して実験を実施し,有効な骨導補聴器開発への指針を得られるよう骨導刺激の伝達経路を明らかにする予定である.

今後の研究の推進方策

これまでの実施状況に基づき,引き続き耳小骨振動モデルを用いたシミュレーションを実施するとともに,骨導音に対するヒト生体での耳小骨,耳小骨周辺の側頭骨さらに蝸牛骨包の振動計測を実施する.シミュレーション結果を実測結果と比較検討し,数値計算結果から得られた知見をもとにヒト生体での計測箇所,計測条件の検討を行い,ヒト生体での実験の効率化を図る.さらに,研究の信頼性を向上させるため被験者数を増やし,骨導刺激の伝達経路を明らかにする予定である.

次年度使用額が生じた理由

主な理由は,今年度予定していた骨導加振器の購入および加振器性能試験が COVID-19 感染拡大のために中断せざるを得なくなったためである.また,参加を予定していた研究発表も中止となったためである.繰り越した研究費は,実験実施に必要な骨導加振器製作等の費用,効率的な実験実施のための実験結果解析機器等の準備と購入に使用する.

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公開日: 2021-12-27  

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