研究課題/領域番号 |
18K04022
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
中村 幸紀 岡山大学, 自然科学研究科, 講師 (90574012)
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研究分担者 |
涌井 伸二 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70334472)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 圧力脈動 / 多自由度空圧式除振装置 / 圧力推定 |
研究実績の概要 |
平成30年度では,まず圧縮空気圧の脈動による振動に対して,その抑制手法を検討した.電磁バルブ弁の開閉により圧縮空気の流量が調整されるため,圧力脈動の周期は消費流量に依存して不規則に変化する.その対策として,CPG(Central Pattern Generator)を用いた手法が報告されており,本研究では同手法の性能改善を行った.提案手法では,CPGの出力に加えて,内部状態の情報を用いる.それにより振動抑制の効果が改善することを実験により確認した.さらに本手法により,位置のPI制御器を用いずにCPG単独で除振台が平衡位置へ定位されたことも確認している.以上の成果を電気学会制御研究会で発表した.つぎに,2自由度除振装置に対してCPGを実装し,その有効性を検証した.実験結果より,除振台の並進と回転の両方の運動モードに対して,振動の抑圧効果が得られた.本成果をSICEシステム・情報部門学術講演会で発表した.また,空気ばねにつながれた各配管の長さが異なる状況下において,振動の様子を実測した.その結果,配管長の差異により振動幅が増加することを確認した.そこでCPG の内部情報を利用した制御系を実装し,また高周波振動を抑制するために新たなCPGを追加した.それにより,除振台の回転方向における振動が抑制された.本成果はスマートシステムと制御技術シンポジウムで発表された.圧力脈動の抑制と並行して,空気ばねの内圧推定に取組み,粒子フィルタによる推定手法を提案した.本手法の有効性をシミュレーションにより検証した.また,半導体露光装置向けの除振装置では,除振台上でステージの位置決めが行われるが,ステージとガイド間に発生する摩擦が位置決め精度の低下を招く.そこで,摩擦補償の前準備として,摩擦のパラメータ値を差分進化により同定方法する方法を提案した.これらの結果を電気学会制御研究会で発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
圧縮空気圧の脈動を考慮した振動抑制手法などを提案し,その有効性を実験やシミュレーションにより検証している.研究成果を国際会議や国内会議で発表し,また論文誌に投稿しているので,本研究はおおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度では,2自由度除振装置に対してCPGによる振動抑制の効果を実験,シミュレーションにより評価した.平成31年度では,多自由度の除振装置に対して,本手法を用いたときの安定性を解析する.また,産業応用の場面では,除振装置を停止させて除振台を着座させる際,配管長が異なると除振台に不要な回転運動が生じる.この点を踏まえ,CPGが実装された除振装置に対して,適切な除振台の着座方法を検討する.また前年度に実施したステージの摩擦同定の結果を踏まえ,摩擦補償の方法も検討する.
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