研究課題
歯周病等により失われた歯に代わり歯科インプラント(人工歯)が広く用いられてきている.その一方で,インプラントねじの緩みにより侵入した細菌に感染し,歯槽骨や顎骨が溶けインプラントが脱落する問題が知られている.本研究では,申請者が提案した超音波パルスの瞬時振動数変化を利用する診断技術を応用し,インプラントの締結状態を検査・評価する技術を提案する.初年度の研究では,縦波として投射した超音波パルスの一部がねじ山を透過する際に横波にモード変換することを見出し,この横波に締結状態に対して非常に有効な情報を含まれることを明らかにした.次年度は,締め付けトルクをねじ山間の接触剛性として間接的に表現するアプローチを試みた.接触剛性とねじ山間の接触面圧および締め付けトルクとの関係はすでに実験的に知られており,数値計算を行った結果,瞬時振動数と接触剛性および締め付けトルクとの間に比較的良好な関係性を見出すことができた.最終年度は,次年度に試みた接触剛性の推定による締め付けトルクの評価について実験的な検証を実施した.実験を行っていく過程で,これまで着目していた超音波パルスの瞬時振動数よりも瞬時振幅の変化に重要な情報が含まれていることが判明したため,評価ツールを瞬時振幅の変化に変更し接触剛性の推定を試みた.また,超音波パルスの拡散損失等の減衰効果も考慮した.その結果,実験においてねじに与えた締め付けトルクに比例して推定された接触剛性も上昇する結果を得た.接触剛性から締め付けトルクを推定したところ,実際に与えたトルクよりは若干小さい値ではあったものの,比較的良好な精度で接触剛性および締め付けトルクを推定することができた.
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Experiments, Materials and Signal Processing
巻: 2 ページ: 1, 6
10.1007/978-3-030-48153-7
Transactions of the JSME (in Japanese)
巻: 86 ページ: 1, 13
10.1299/transjsme.19-00381
http://dynamic.mech.kyushu-u.ac.jp/Research/Re_Dental_inplant.html